人材サービス産業協議会(JHR、岩下順二郎理事長)は24日、都内で「JHRセミナー2026」を開いた。紹介、派遣、求人広告、採用、人材活用などに携わる責任者や研究員らが参加。初めて俯瞰的・横断的に調査した「短期・単発労働市場」の報告や、国内最大級となる約10万人のAI人材会員基盤「SIGNATE」を運営する齊藤秀氏の基調講演を通して、労働市場の新たな要請に応える人材サービスの役割について掘り下げた=写真・上。
JHRは国内の主要な民間人材サービス業界5団体が出資・運営している連携組織。労働市場で起こる課題に取り組み、次世代の労働市場の創造を目的に活動している。5団体は全国求人情報協会(求人広告、全求協)、日本人材紹介事業協会(職業紹介、人材協)、日本人材派遣協会(人材派遣、派遣協)、日本BPO協会(製造請負・派遣)、NEOA(無期雇用型エンジニア派遣)。2012年7月に前身となる「人材サービス産業の近未来を考える会」を経て設立されたJHRは、16年に「業界横断的な政策の立案・実現」と「業界全体の社会的地位・人材力の向上」を活動の柱に置き、これを強力に推進する体制として「労働政策委員会」と「ソーシャル・バリュー推進委員会」を常設している。
この日は、労働政策委員会の基に立ち上げた「短期・単発労働市場」の調査・研究ワーキングが取りまとめた報告書について、座長を務めた大久保幸夫氏(職業能力研究所社長兼リクルートワークス研究所アドバイザー)が解説。特性・特徴のポイントとして、「市場規模は約604.7万人、常用雇用換算で約75.9万人」「就業者は全産業・全世代に広がる」「副業性(複業性)が高い」「資格と経験が活用できる」「デジタル化と労務管理代行が拡大を促進」――などを挙げた。この分野の初の解析とあって、興味深い内容が並んだ。また、トラブルや課題としては、求職者(ワーカー)側が「業務に関する指示や説明が不十分(14.6%)」・「直前に仕事がキャンセルになった(13.7%)」、求人者(企業・店舗)側が「就業直前になっても現れない(46.7%)」「業務を遂行しない・能力不足(44.9%)」といった内容が目立つ(いずれも複数回答)。今後の論点として大久保氏は「仲介事業者によるマッチング品質の向上」「労働者保護の観点からのルール整備」「継続的な実態把握とモニタリングの必要」を提言した。
続いて、齊藤氏=写真・下=が「AI時代の企業経営を支える人材サービス産業の新たな役割~AIがHRを再定義し、HRがAIを価値化する~」と題して講演。AIが代替するのは人ではなく業務タスクであることや、AIの業務活用は自動化と拡張の2種類という視点を説明。この分野の先駆者として培った経験則やデータを基に、人材サービスに絡めた発展の領域や課題を深掘りし、「AIの価値は人が生み出す。人材サービス産業はAI時代の企業経営を支える社会基盤」と視点を示し、「労働市場の観測・適応人材の育成・価値成果の提供・労働移動の促進」をキーワードに挙げた。
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