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2016年2月27日

【この1冊】『決定版 上司の心得』

管理者の生き方ここに極まる

c160227.jpg著者・佐々木 常夫
KADOKAWA、定価800円+税

 

 大阪・東京を6度にわたって転勤、海外企業のM&A、破たん会社の再建など、ホットなビジネスを戦ってきた著者が、現職の管理者向けにリーダーの心得を語る。

 ビジネスは生き物であり、理論通りに進まないところに仕事の醍醐味があるとの前提で、運命を受け入れ、真摯に取り組む熱意と謙虚さ、ノブレス・オブリージュの自覚を説いている。上司の役割は「成果を出し、人を育てること」と定め、メンバーの成長エンジンに火をつけるチーム作りの極意にも踏み込む。成果は出して当たり前であり最大限の知恵と汗を求める一方、「長時間労働は、プロ意識と想像力と羞恥心の欠如だ」とも言い切る。あるいは、できる部下を重用し組織内に競争原理を持ち込むより、弱い部下を助け、支え合う風土を築いたほうが全体の士気は高くなると自ら実践してきた運営手法も披露する(もちろん必要な叱責はためらわず「仏の心で鬼になれ」とも諭す)。

 仕事論、キャリア論、自己啓発論、人生論に至るまで、短いセンテンスに凝縮された“いい話”が満載の良書だ。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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