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2016年3月26日

【この1冊・最終回】『男が働かない、いいじゃないか!』

「男はだまって…」の時代は過ぎた

c160326.png著者・田中 俊之
講談社α新書、定価840円+税

 

 「女性活躍推進法」「保育所待機児童撲滅」など、女性の社会進出を支援する政策論議が盛んだが、では、男性はと言えば「正社員として定年まで働いて妻子を養う」ことが、今も変わらぬ社会常識。それ以外は「ダメ男」「男らしくない」など散々に言われるが、それって本当に正しいのか。本書が提起している問題は奥が深い。

 本書は「就職できなくたって、いいじゃないか」「女性に悩んだって、いいじゃないか」など4章で構成。「朝起きて『会社に行きたくないなあ』と考えるのは正常な思考回路」「男なら夢を追いかける?やめときなさい」といった調子で、「男たるもの…」という世の常識にいちいち疑問を投げ掛けている。

 著者は「男性学」の第一人者として、目下売り出し中の大学の先生。「男性学」とは男性ゆえの悩みや葛藤に着目する学問で、日本の場合は働き過ぎ、自殺、結婚難などが典型的な社会問題となっている。「性別にとらわれない多様な生き方」の実現を目的にしており、その意味では「女性学」と表裏一体だ。

 長時間労働や過労自殺など、深刻な問題も多いが、本書はとにかく「わかりやすい男性学」を目指しているとあって、表現は平易で読みやすい。会社の上司や親たちの中高年世代が、タイトルをみて「ふざけんじゃない」と思うか、「何が言いたいんだろう」と思うか。評者としては、そちらの方に興味がある。 (のり)


お知らせ 「この1冊」は今回をもちまして終了します。長年のご愛読をありがとうございました。
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