「もっと頭を下げろ!」「割り込むなよ!」――。取材現場で、報道陣の間で飛び交う怒号の代表例だ。取材現場は、報道側と取材対象者のせめぎ合いだけでなく、報道側のバトルの場でもある。思想信条は異なっても、報道陣の向いている先が一斉に取材対象者なので、質疑に絡んだ報道陣同士による争いはほとんどない。しかし、「現場(会見場)の画像・映像を撮る」ことに関しては、“熱い”光景がしばしば見られる。
他社より少しでも見映えのするカットやシーン(通称:絵)を撮って発信しようとする報道各社の意地とメンツのぶつかり合いだ。格好良く言えば「プロ根性」。斜めに解説すると、「他社は最高の絵だったよ。何をやっているの、お前は」と自社の上司にネチネチやられるのを避けたい「恐怖心と保身」。外部委託を受けて撮影しているスタッフの場合は、発注先の放送局などに「使えない」と厳しい注文を付けられては今後に響くからだ。
そうした背景が絡み合ってバトルは過激になる。筆者のこれまでの取材現場の体験談で言うと、報道陣の撮影には大きく「新聞・雑誌系の写真(スチール)」と「テレビ・インターネット系の映像(ムービー)」に分けることができ、戦いの構図となっている。何十年も繰り返されるカメラ(写真と映像)のぶつかり合いだけに、「写真は前列でかがむ、映像は後列で脚立などを用いて高めから撮影」というルールが定着してきている。ところが、突発的かつ注目度が高い取材となると“紳士協定”は崩れる。
筆者はスチールカメラを中心にしているため、ここからは偏った見方になってしまうかもしれないが、映像系の方に気の強さを感じる。体格もガッチリしているイメージも。何度か怒鳴られ、気が弱いのと突然の怒声に驚いて慌てて立ち位置から引っ込んだ経験もあるが、他社の同期の新聞系の友人は「ここは会見場じゃない、事故現場だ。俺が邪魔なら、お前が俺より前に出ろ!」と言い返して、その日のニュース映像に勇ましい後姿が映っていた。
新聞系は、駆け出し記者のころ、自分で取材し写真撮影もする、というのが通例。社によって違うものの、一定の年数を重ねていくと、取材のみに徹して撮影は写真部記者に事前に意図を伝えて「お任せ」の形となっていく。筆者は報道写真の撮影に情熱を込めていた駆け出しの時の直属の先輩の影響が強く、撮影は自分で挑む。いまも、これからも、ずっと「撮影バトル」の渦中の人であろうと思っている。






















