選挙報道は各社にとって重要な位置づけを成している。読者や視聴者へのきめ細かな伝達という表層的な役割だけでなく、他社との“競争”といった側面も多分にある。参院選(半数改選)が近づいていることもあり、国政選挙に焦点を当て、報道側の一連の段取りのうち、「事前に立候補予定者をつかむ」ことの重みについて報道サイド視点で少々触れてみたい。
国政選挙とは衆院選と参院選を指す。任期は4年ながら解散総選挙のある衆院選と、任期6年で半数改選が3年に一度ある参院選が、混在する格好で訪れる。2010年以降だけをみても、参院選(10年)→衆院選(12年)→参院選(13年)→衆院選(14年)→参院選(16年 ※5月20日現在では参院選のみ)といった具合だ。
さて、国政選挙に対して報道各社、あるいは記者がやるべき最低限の実務作業がある。第一に、立候補予定者の動向だ。当たり前のように思われるかもしれないが、突発的な予想外の立候補者のほか、最近は公示・告示日の直前になって諸般の事情で立候補を取りやめたり、選挙区から比例区にまわったりするケースがあるだけに侮れない。公式の選挙運動の初日に、各候補者が有権者に発する「第一声」を報じるのが報道の使命となっているが、候補者の人数によって紙面の割り付けや放送時間の配分に影響を及ぼす。
そもそも「第一声」で、どの立候補者に誰(取材班)を配置するか事前に決めておかなければ、報道機関として話にならない。選挙期間中の報道は、投開票日を逆算して候補者(政党)の主張や選挙対策本部の動きなどを均等に「連載」していくのが通例だ。立候補者の人数によって、その連載回数や構成も変わってくる。立候補者の考えを質問形式で書面回答してもらい、一覧掲載することも報道機関の作業の一環。しかし、選挙運動がスタートすれば立候補者は“不眠不休”であり、告示・公示前に依頼して各社それぞれ「回答受領済み」にしておくのが常識だろう。
期間中は、事前に候補者やその周辺から取材してまわった蓄積を踏まえて執筆し、記事化していく。公職選挙法に抵触しない範囲を意識しつつ、期間中に深みのある記事を書くためには、やはり、(公式な)選挙戦前の「濃密な事前取材」が物を言う。要するに、選挙報道に関する一連の取材や作業の半分以上は公示・告示日前に終わっていなければいけない。ゆえに、「立候補予定者をつかむ」という基本が、選挙報道の原点と言えるのだ。






















