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2016年5月28日

アドバンスニュース「報道局だより」9・選挙と報道(2)=国政選挙の中盤・終盤情勢と結果

 選挙報道の最大の“見せ場”は、選挙区や比例区の獲得議席数を各社(通信社)ごとの取材と調査で報じていく、中盤情勢や終盤情勢だ。報道サイドからすると、公示・告示前から集中的な取材を続けてきた長丁場の「大きな節目」となる。「当確速報」は放送系が同業他社としのぎを削る“見せ場”だが、ここでは投開票直前の様子を報じる新聞系のいわゆる「情勢報道」について触れてみたい。

tayori.png この報道は、一連の選挙記事の中でも注目度が高く、反響がある。投開票日の翌日の紙面よりも一字一句、読者に読み込まれ、他社紙面と最も比較されるのがこの時ではないだろうか。調査方法は各社それぞれ。調査機関に独自の設問設計で依頼する格好が一般的で、新聞(通信)社としては決して小さくない相応のお金(支出)を要する。最近は、新聞社の経営体力が落ちてきているため、経費節減のために系列のテレビ局などと連携するケースも散見されるが、基本は「独自の情報を総合」し、見出しの打ち方を含め神経を尖(とが)らせて報じていく。

 さて、「中盤」でも「終盤」でも、各社の集大成であることに変わりはない。つまり、記事の中に「約3割の人が態度を決めて(明らかにして)おらず、投票日までに情勢が変わる可能性もある」などの言い回しで“保険”を掛けようとも、「結果を当てる」所存で臨んでいるのは確かだ。筆者が新聞社勤務のころを思うと、「当てなければいけないプレッシャー」も感じていた。だからこそ、選挙に関心のある有権者も、候補者とその関係者も、目を凝らして各社の表現する「優勢、リード、横一線、追う展開」の見出しと情勢分析記事に高い関心を持つ。

 圧倒的な差のある選挙区や事実上の無風区(有力候補者と定数が同数)の場合は問題ない。しかし、横一線の状態である展開の時が難関だ。それでも、報道幹部は詰めに詰めて差異をにじませる絶妙な言い回しの方策を練るのだが、ここでデータ上は誤差の範囲とは言え、わずかながらでもいずれかの候補者が勝っていることが読み取れる報じ方をすると、投票行動を決めていなかった人の一部に「では勝ち馬の方に乗ろう」とか、逆に「僅差ならひっくり返した方が投票する醍醐味がある」なとといった気持ちを抱かせてしまうこも否定できない。

 これは、全身全霊をかけて選挙に挑んでいる候補者からすれば、たまったものではない。伸るか反るかの瀬戸際に、陣営の気の緩み、または負けムードが漂っても、いずれも迷惑千万であろう。当落が決まって、情勢報道と異なる結果になったとしても、「最終盤の猛追が」や「終盤に大きく伸ばし」などと解説(言い訳)するだろうが、新聞社自体にも本当は忸怩(じくじ)たる思いがあるに違いない。

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