記者は勤務地が変わる転勤や、報道フロアは同じでも「担当替え」が多い職業だと言われる。大半は4月か10月の異動辞令となるが、国会担当記者は開会中の国会が終わった直後がひとつの節目となるため、7月か8月が一般的だ。専門的な記者は別として、概ね2~3年で異動か取材対象の担当替えとなるケースが主流で、1年だけということもある。
なぜ、こんなに異動があるのか。2~3年と言うと、折角、その担当の取材相手(政治家や役所幹部や警察官)との緊張感を持った信頼関係が構築できたり、担当分野の底流を覚えてきたりするあたり。「さあ、ここからなのにもったない」との意見が外部からもない訳ではない。当の記者本人からも「もう少し、この場所で、この担当でいたかった」という声も異動時期にはよく耳にする。
会社の上層部もそれは承知してるが、大事な理由があるようだ。筆者は社会部(警察)、スポーツ、水産・港湾物流、教育、政経などと、概ね1年ずつで転勤または担当替えを経験してきた。当時の上司に不満交じりに尋ねると、「毎日のように顔を合わせるうちに、自治体の首長をはじめ、取材担当者と個人的な人間関係や地域事情に精通しすぎて、時として糾弾すべき事案に遭遇した際にペンが鈍ることあるからだ」。また、「現状の担当分野に慣れると自分への厳しさが緩む。得手でも不得手でも新しい分野でいろいろ研鑽を積まないと成長しない」という返答だった。
すべて胸に落ちた訳ではないと記憶しているが、概ね納得したことも覚えている。慣れない分野や地域でスタートを切るのは、何度経験しても心身ともに大変だが、確かに「慣れ」が生んでしまう記者としての弊害も理解できた。また、恒例行事(定例議会や地域の祭りごとなど)も2年目、3年目となると新鮮味に欠け、自身の取材力というか、執筆のエネルギーを維持していく難しさを感じることも皆無ではなかった。
さまざまな取材相手から、「もう異動なの?覚えてきたところなのに」と何度言われたことか。申し訳ないなあ、と思ったことも一度や二度ではない。でも、「(取材相手との)なあなあ」の関係、「一線を超えて理解し合える人間関係」になる弊害は、双方にとって良くないし、何よりも読者や視聴者に失礼かつ“背信行為”となる。賛否はあれど、記者の異動と担当替えの早さの理由を少しでも理解してもらえればと思う。






















