夏本番を迎える。全国各地には年間を通して伝統文化的な「祭り」があり、特に暑い7月から9月上旬の開催が多い。地元の人たちはもちろん、観光客でにぎわう。それぞれ、発祥の由来や伝統の長さはさまざま。大掛かりな山車(だし)祭りをはじめ、盆踊りの“拡大版”のようなスタイルまで、毎日どこかの地方で「祭り」が開かれている。
こうした年に一度ある祭り期間のにぎわいを紹介するのも報道の仕事だ。一般的には社会部と文化部の記者がチームを編成して取材にあたる。事件・事故の取材より気持ちが滅入らないのは確かだが、「毎年恒例」の取材・報道という類には、実は相応の苦労とプレッシャーがある。
端的に言うと、「去年の記事や同じ視点の特集ではダメ」という命題だ。これは、全国紙記者よりも、地域密着型の地方紙や地方局記者の方が切実かもしれない。その地域最大の祭りとなれば、「開幕まで1カ月」、「あす開幕」、「きょう開幕」から始まり、前夜祭を含む本番へと突入する長丁場。「にぎやか」ではあるものの、特に、大胆な内容変更がない伝統行事だけに、前年と違う特徴を執筆するのが難しい。かといって、例年と代わり映えしない記事では、記者のセンスと能力も問われる。
まずは、記者自身が祭りの由来と特性を勉強するため、過去記事や関連書籍を調べるのがオーソドックスな取っ掛かりとなる。その際、「誕生〇〇年祭」とか「新幹線開通後、初の」といったトピックがあった年の担当者がうらやましく思ったりしつつ、自分の置かれている現実に立ち返って「今年の最高な報じ方と伝え方」を試行錯誤。チームの仲間と議論したり、写真部記者に相談したりして詰めていく。
そして、祭りの“主人公”ではなく、敢えて山車(だし)づくりや運営側の「わき役や若手」にスポットを当てた連載を組んだり、パノラマ写真を導入してみたりして、読者や視聴者が満足する報道に努める。地域と一緒になって祭りを盛り上げ、無事閉幕すると、記者は当初のプレッシャーを忘れ、「祭り取材に携わって良かった」と感慨に包まれるものだ。






















