オリンピックの競技会場は、競技種目の数と同じだけある。しかし、それは点在していて、メーンのプレスセンターから車で5分程度の場合もあれば、電車で2時間以上という会場も。そこで大活躍するのが、現地のオリンピック運営事務局が用意してくれている大型のシャトルバスだ。無料かつほぼ24時間体制で定期的に各会場とプレスセンターを往復する。
便利とはいっても、目的地が50カ所を超えるため、単純往復だけではなく、効率的な観点から「〇〇会場経由〇〇会場」とったルートパターンまでさまざま。広大な発着場に目的地ごとの乗降場所がたくさんあり、自分の取材先に間違いなく到着・経由する“停留場”なのか、不安でいっぱい。コースやルートを概ね把握できるのは、幾度か失敗を繰り返した後の大会後半になってからという記者も少なくない。
このプレスのシャトルバスの特徴は、大会期間中に世界各国から集まる取材班への配慮から、一般道路にシャトルバス専用レーンが設けられていることだ。特に、渋滞の多い都心部で片側3車線のうちの1車線は路面に黄色やオレンジ色の車線ラインで目立つように引かれ、シャトルバスが渋滞の中でスイスイと走り抜けていく。とは言え、そんなのお構いなしの地元の人や観光客の車が侵入してきて、シャトルバスの運転手さんとクラクションやパッシングの激しい攻防が繰り広げられる。
20代後半と見られる運転手さんのシャトルバスに乗車した際は、クラクションを5分近く鳴らしっぱなしで、前の一般車両に運転席から車線から出るように厳しい形相でにらみつけ、相手には聞こえないだろうが、「カット、カット」と大声と身振り手振りで専用レーンから出るよう迫っていた。日本国内の国体やインターハイなどの大会などで用意されるシャトルバスではあまり経験したことのない激しさに、ぶつかって事故が起きやしないかと身体に力を入れてドキドキしながら縮こまっていたこともあった。
その一方で、フレンドリーな出来事も。あまりに早朝の時間帯で、大型バスの運転手さんと筆者だけ、というレアケースがあった。運転手さんは50代前半とみられるイタリア人のおじさんで、目的地の会場の途中に「ブレックファースト、トゥギャザー」と単語で声を掛けてくると、途中で専用レーンを外れてパンとカプチーノがおいしいスタンドカフェへ。知らぬ間に、筆者の分の代金も払ってくれていて、笑顔でバスに戻り専用レーンへ。その道中は互いに片言ながらコミュニケーションが取れた。もちろん、有りか無しかで言ったら、「無し」な行為なんでしょうけど。






















