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2019年4月11日

中宮伸二郎社労士の「労務の心得」15・勤務間インターバルの導入における注意点

Q 勤務間インターバルを導入する際に定めなければならない事項はありますか、また導入に際して注意すべきことはありますか。

nakamiya03.png 法令で勤務間インターバル制度導入手続きは規定されていないため、自由な制度設計が可能ですが、就業規則の変更が必要になります。
 勤務間インターバル制度を導入する際には、一般的に以下の事項について検討する必要があります。

 ①対象者・対象業務
  必ずしも全従業員を対象とする必要はありません。
  管理職を除外したり、特定の部門だけを対象にしたりすることも可能です。

 ②休息時間(インターバル時間)
  休息時間の設定も全従業員同一にする必要はなく、部門や職位に応じて設定することが可能です。

 ③翌日の始業・終業時刻をどうするか
  前日遅くまで時間外労働をした場合、休息時間を確保するために当日の始業時刻は繰り下げられることになりますが、その日の終業時刻をどのようにするか以下3つの方法が考えられます。

(1)始業・終業時刻を繰り下げる
     例:所定始業、終業時刻 9時―18時 休息時間11時間
     前日23時まで時間外労働をした場合
     当日の始業時刻 10時
     当日の終業時刻 19時
(2)始業時刻だけ繰り下げ、所定終業時刻に退勤
   上記例と同じ条件の場合
   当日の始業時刻 10時
   当日の終業時刻 18時
   所定労働時間8時間に対して7時間勤務となっていますが、8時間勤務したものとみなして賃金を支払うことが多いようです。   
(3)所定始業時刻の変更を認めず前日の時間外労働を抑制する
   始業時刻の変更を認めないことにより、9時始業であれば前日22時までに終業しなければならなくなります。
   業務遂行に関して比較的裁量が大きい(勝手に残業することができる)従業員には有効な長時間労働抑制策となります。  
  
 ④休息時間が確保できない場合の措置
  あくまで社内の自主的な取り組みなので、休息時間が確保できない場合の措置を定める必要はありませんが、措置を講じなければ実効性はありません。考えられる措置として以下のものが考えられます。
  (1)後日、不足時間を始業終業時刻の変更により代替する
  (2)一定日数以上確保できない場合、医師の面談等を受けさせる
  (3)確保できなかった時間に応じて代替休暇を与える

(中宮 伸二郎/社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員)

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