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2019年6月 6日

中宮伸二郎社労士の「労務の心得」23・自動車運転者の範囲

Q 介護施設の送迎バスの運転業務に派遣していますが、運送会社の運転手以外でも労基法上、自動車運転者として取り扱われるのでしょうか。

nakamiya03.png 自動車運転者に該当します。運送会社やバス会社の運転手だけではなく、物品又は人を運搬するために自動車を運転することが労働契約上の主として従事する業務となっていれば該当します。ただし、営業職のように取引契約の勧誘、締結のための手段として自動車を運転する者は該当しません。

 介護施設の送迎バスの運転手は、自動車運転者であることから「自動車運転者の労働時間等改善のための基準」の適用を受け、労働時間管理に関して以下の事項を守らなければなりません。
・拘束時間(休憩を含めた始業から終業までの時間)
4週を平均して1週65時間以下
1日13時間以下(延長する場合であっても最大拘束時間16時間)
・休息時間(勤務間インターバル)
 勤務終了後継続8時間以上
・運転時間
 2日を平均して1日9時間以下、4週を平均して1週40時間以下
 連続運転時間は4時間以下
週40時間、1日8時間以内の勤務であっても連続運転時間4時間以下は適用されます。

 2019年4月1日施行の改正労基法の時間外労働の上限規制の適用猶予となる自動車運転者にも該当し、2024年3月31日までは上記改善基準が上限となります。時間外労働が通常の36協定の範囲を超えてしまうことが予想される場合、36協定届は通常の労働者とは別に適用猶予事業・業務用の様式第9号の4を用いて届け出てください。

 施設の送迎業務で抵触することはあまり考えられませんが、見落とされがちなことなのでご注意ください。

 

(中宮 伸二郎/社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員)

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