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2019年7月 4日

中宮伸二郎社労士の「労務の心得」27・ダブルワークの健康管理

Q ダブルワークをしている社員に対する健康管理や安全配慮義務は、どの企業を雇用主として考えればよいでしょうか。

nakamiya03.png 全ての勤務先企業に責任があります。ただし、それぞれの企業の雇用契約の範囲での責任となります。例えば、月曜から金曜の午前中4時間をA社、午後4時間をB社で勤務する労働者がいる場合、2社の合計所定労働時間は40時間となりますが、A社、B社ともに定期健康診断を実施する義務はありません。一方で、厚労省が2018年1月に公表した副業・兼業に関するガイドライン(以下「ガイドライン」という)では、「使用者が労働者に副業・兼業を推奨している場合は、労使の話し合い等を通じ、副業・兼業の状況も踏まえて、健康診断等の必要な健康確保措置を実施することが適当である」としています。

 これは、定期健康診断だけではなくストレスチェックや時間外労働が80時間を超えた場合の医師の面談等も同様の取扱となります。

 安全配慮義務については、ダブルワークの結果、過重労働となり健康を害した場合の責任については、現時点で明確になっていませんが、雇用するすべての会社に労働契約法第5条の安全配慮義務が課されています。ガイドラインでは、労使の話し合いを通じて時間外、休日労働の免除や抑制を行うことを勧めています。

 上記の通り、雇用契約の範囲でしか健康管理等がなされないことから、ガイドラインでは労働者自身にも次のような対応を勧めています。

・自身が勤めている企業の副業・兼業に関するルール(労働契約、就業規則等)を確認し、そのルールに照らして、業務内容や就業時間等が適切な副業・兼業を選択する必要がある。また、実際に副業・兼業を行うにあたっては、労働者と企業双方が納得感を持って進めることができるよう、企業と十分にコミュニケーションをとることが重要である。

・副業・兼業による過労によって健康を害したり、業務に支障を来したりすることがないよう、労働者(管理監督者である労働者も含む)が自ら、本業及び副業・兼業の業務量や進捗状況、それらに費やす時間や健康状態を管理する必要がある。

・使用者が提供する健康相談等の機会の活用や、勤務時間や健康診断の結果等の管理が容易になるようなツールを用いることが望ましい。

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