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2019年7月25日

中宮伸二郎社労士の「労務の心得」30・健康保険被扶養者要件の変更

Q 健康保険法の改正により、被扶養者の範囲が変更することになるそうですが、どのような変更でしょうか。

 2020年4月1日から、原則として国内居住であることが要件に追加されます。現在、健康保険の被扶養者の範囲は、次の①②となっており、居住地がどこであっても①②の要件と年収に関する要件を満たせば被扶養者として認められてきましたが、これに③原則として国内に居住していることが追加されます。 

①被保険者と同居している必要がない者
・配偶者
・子、孫および兄弟姉妹
・父母、祖父母などの直系尊属
②被保険者と同居していることが必要な者
・上記1.以外の3親等内の親族(伯叔父母、甥姪とその配偶者など)
・内縁関係の配偶者の父母および子
③原則として国内に居住している者 
・日本国内に住所を有する者 
・外国に留学中の学生、その他の日本区内に住所を有しないが、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして省令で定める者


 nakamiya03.png 外国人労働者の被扶養者であっても日本国内に居住していれば改正後も被扶養者の資格が継続しますが、国外に居住しながら被扶養者となっている場合、被扶養者から外れてしまいます。国民年金第3号被保険者に関しても同時に法改正が行われるため、同様に資格を失います。また、上記①②に該当する者が医療ビザ、観光・保養目的のロングステイビザで来日して一時的に日本に居住することになっても被扶養者とすることはできません。

 海外居住者を被扶養者にしている企業では、施行前までに対象労働者に今回の改正について十分説明し、「いきなり健康保険証を取り上げられた」等のトラブルが生じないよう準備が必要と思います。経過措置を含む改正省令は、2019年8月中旬に公表が予定されています。

 

(中宮 伸二郎/社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員)

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