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2019年12月 3日

【ブック&コラム】『退職代行』

辞めたくても辞められない事情とは

c1912.jpg著者・小澤 亜季子
SBクリエイティブ、定価830円+税

 

 弁護士で社労士の著者は「退職代行業」を請け負っている。辞めたくても辞められない依頼主の代行者として退職届を内容証明で会社に送り、離職票の発行や健康保険の切り替えといった手続までを見届ける。勤労者と勤務先の関係が良好なら本人が退職届を提出して円満退社となるが、そうもいかない事情も垣間見える興味深い内容だ。

 依頼者は弁護士を立ててでも正しく退社しようという真面目な方が多く、「男性・正社員・30代・40代」が目立つという。依頼理由では、退職を告げると社長に逆ギレされる、引き継ぎや退職手続で嫌がらせを受けたくない、在職中の未払い残業代を請求したい、在職中の過失を理由に損害賠償を請求されかねない等の事例が挙げられている。なかには依頼者がメンタルを病んでいるため、業務の引き継ぎまで代行したケースもある。

 著者自身は、退職・代行利用を推奨する意図はないと断りつつも、嫌々働いて命や健康を危うくするくらいなら会社を辞めて生き延びる道を選択すべきだとも述べ、幸福追究の思いを言い添えている。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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