コラム記事一覧へ

2019年12月12日

中宮伸二郎社労士の「労務の心得」50・派遣法の労働条件の明示

Q 派遣法改正により、雇入れようとするとき、労働者派遣しようとするときに労働条件を明示することとされていますが、具体的に何を明示するのですか。

 派遣元は、派遣社員を雇い入れようとする時(労働契約締結時)と派遣を開始しようとする時(派遣就業開始時)の2つのタイミングで、派遣社員に対して労働条件に関する事項について明示することが義務付けられました。

  労働契約締結時の明示事項        派遣就業開始時

1昇給の有無
2退職手当の有無
3賞与の有無
4労使協定対象派遣社員であるか否か
5派遣社員から申し出を受けた苦情処理に関する事項
a賃金の決定(退職手当・賞与を除く)
b休暇に関する事項
c昇給の有無
d退職手当の有無
e賞与の有無
f労使協定対象派遣社員であるか否か

nakamiya03.png 労働契約時の明示事項のうち、1から3については、従前からパートタイム労働法で義務付けられていたことから、決して新しい項目ではありません。4「労使協定対象派遣社員であるか否か」、5苦情処理が追加項目となります。労働条件通知書と就業条件明示書を兼用としている場合は、4だけが追加項目となることが多いと思います。

 派遣就業開始時の明示事項のうち、aからeは、派遣先均衡均等方式の対象となる派遣社員への明示項目です。労使協定方式の対象となる派遣社員には、fだけが明示事項となります。実務的には、これらの項目を就業条件明示書に追加することが考えられます。

 明示の方法は、書面の交付によることとされていますが、派遣社員が希望した場合は、ファクス、電子メール等の送信による方法も認められています。

 

(中宮 伸二郎/社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員)

PAGETOP