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2020年2月13日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」7・令和2年1月14日公表版の労使協定(イメージ)③

Q 労使協定方式の「地域指数」については、どのような点に注意して参考にしたらよいでしょうか。

koiwa1.png 労使協定のイメージ(令和2年1月14日公表版)では、地域指数の適用についても、複数の指数を使い分ける例が示されています。「一つの労使協定において、都道府県内指数及び公共職業安定所管轄地域の指数を使い分ける場合」では、都道府県の指数を適用する理由として「複数の市区町村の派遣先において就業を行うことから」、公共職業安定所管轄の指数を適用する理由として「主に〇〇市内において就業を行うことから」と説明されています。この点は分かりやすい事例といえるでしょう。

 「複数の地域指数のうち、最も高い指数を使って比較する場合の例」も紹介されています。労使協定方式に関するQ&A第2集(問2-3)に「協定対象派遣労働者が複数の地域に派遣される可能性がある場合、一の労使協定において、複数の地域指数を乗じた一般賃金の額を記載するとともに、それぞれの一般賃金の額に対応する協定対象派遣労働者の賃金の額を記載し、同等以上であることを確認する必要があるのか」とあるのに対応しています。「最も高い地域指数を乗じた一般賃金の額と、全ての協定対象派遣労働者に適用される賃金の額が同等以上であることを確認できる場合は、この限りでない」という回答の具体例として以下の条項案が示されています。

 別表2の対象従業員の基本給及び賞与の比較対象となる「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」については、前項のうち、最も高い指数を持つ三鷹の指数により算出するものとする。


 一般的には「最も高い地域指数」を適用する場面は少ないと思いますが、日常的に地域をまたいで同一の派遣業務に従事することが予想されるような例では、派遣労働者本人の待遇の安定や給与計算などの便宜の観点からも、メリットとなるケースが考えられるでしょう。実務現場の場面に応じて具体的に参考にしていきたいものです。
 

(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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