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2020年3月19日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」12・新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金

Q 新型コロナウイルス感染症への対応によって小学校等が臨時休校となっていますが、国から受けられる助成金があると聞きました。具体的にはどのようなものですか。

koiwa1.png 新型コロナウイルスの拡大の防止を図る政府の方針により、2月27日から全国の小中高校の多くが臨時休校となっています。このため子どもの世話をする保護者が仕事を休まざるを得なくなった際への対応として、新たに「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」が創設されました。

 この助成金では、①新型コロナウイルス感染症への対応として臨時休業等をした小学校等に通う子ども、②新型コロナウイルスに感染し、または感染したおそれのある小学校等に通う子どもの世話を行うため、保護者(労働者)が休業を取った場合に、労基法上の年次有給休暇とは別に賃金全額支給の有給休暇を取得させた事業主に対して、一定の金額が支給されます。

 「小学校等」に通う子どもの保護者が対象であり、保護者が世話をする必要が低い中学校や高校等は対象になりません。「小学校等」には、小学校のほか幼稚園、保育所、放課後児童クラブ、これらの課程に類する学校等が該当します。保護者には、親権者のほか未成年後見人、祖父母、里親など、現に子どもの世話を行う人が該当します。
 対象期間は政府の方針として臨時休校となっている2月27日から3月31日まで、支給額は対象者に支払った賃金相当額の10/10(ただし、1日1人当たり8330円が上限)となります。10/10とされていますが、上限が設定されていますので注意してください。

 注目されていた半日単位の休暇、時間単位の休暇については、3月9日に公開されたリーフレットで対象となることが示されました。就業規則等が整備されていない場合でも要件に該当する休暇を付与した場合は対象となりますので、実務的にはかなり使いやすい内容だといえるでしょう。ただし、勤務時間そのものを短縮した場合は対象外となるため、注意が必要です。

 新型コロナウイルス感染症の影響に頭を悩ませる人も多いと思いますが、この助成金については該当する事業所も多いと思いますので、有効に活用したいものです。

(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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