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2020年4月 2日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」14・新型コロナウイルスと傷病手当金

Q 新型コロナウイルス感染症に感染した場合は傷病手当金が支給されると聞きましたが、具体的な要件などはどうなりますか。

koiwa1.png 3月6日に厚生労働省保険局保険課から「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給について」(事務連絡)が発出され、「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A」(全8項目)が示されました。

 健康保険の被保険者が業務災害以外で新型コロナ感染症に感染した場合は当然対象となり、自覚症状がなくても「新型コロナウイルス陽性」と判定され療養する場合は傷病手当金が支給されます。

 通常の傷病手当金と異なるのは、医師が初診日前に労務不能と意見書に記載した場合は、初診日前の期間も労務不能の期間と認められる点です。新型コロナウイルス感染症の受診の目安が、風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いており、強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)があるときとされているのに対応しています。

 一部のメディアなどでも報道されましたが、近くに適切な医療機関がないなどやむを得ない事情で医師の診断が受けられず、意見書が添付できない場合であっても、支給申請にその旨を記載し、労務不能についての事業主の証明を添付するなど必要な手続きを取った場合には、保険者の判断で傷病手当金が支給されることになります。

 なお、事業所内で新型コロナウイルスに感染した者が発生したことなどを理由に事業所全体が休業したり、家族が感染によって濃厚接触者になったことを理由に休暇を取得する場合などは、労務不能による療養ではないため傷病手当金の対象とはなりません。

(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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