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2020年4月23日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」17・新型コロナウイルスと国民年金保険料の免除

Q 新型コロナウイルス感染症の影響によってやむなく国民年金保険料の納付が困難となった場合には、免除制度があると聞きました。具体的にはどのようなものですか。

koiwa1.png 新型コロナウイルス感染症の感染が都市部を中心に広がっており、解雇や雇止め、内定取り消しといった雇用への影響も深刻化しています。前回は厚生年金保険料の猶予制度について触れましたが、国民年金にも免除制度があります。

 失業してしまったり、事業の廃止・休止といった状況になってしまった場合には、一定の要件に該当することにより、国民年金保険料の免除を申請することができます。このことを「特例免除」といいます。

 特定免除では通常は前年か二年前の所得を基準に判断されますが、新型コロナウイルス感染症の影響によって幅広い業種で業績が悪化している状況を踏まえて、今回は特例的に直近の収入を見て免除の可否を判断し、本人に加えて配偶者などの所得も考慮される方針です。

 特例免除を受けたい場合は、ケースによって添付書類が必要となります。労働者が失業した場合は、雇用保険受給資格者証か雇用保険被保険者離職票の写しを免除・納付猶予申請書に添付して、住所地の年金事務所に申請します。これが認められると、保険料の免除もしくは猶予が可能となります。雇用保険を喪失したことを確認する必要があるため、社会保険の資格喪失届などは代用できない点は注意しましょう。

 申請先は住民登録をしている市区町村役場の国民年金担当窓口となりますが、窓口に行くことができない場合は郵送による提出も可能です。申請用紙はこちらからダウンロードできますので、該当される方は参考にしてください。

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 前回は厚生年金の猶予制度について触れましたが、コラム掲載の直後に厚労省から「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う厚生年金保険料等の納付猶予の特例について(案)」が示されました。「事業等に係る収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少」といった要件が具体化されていますので、ご参考ください。


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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