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2020年5月21日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」21・新型コロナウイルスの雇用調整助成金の特例措置③

Q 雇用調整助成金について小規模事業所の手続きが大幅に緩和されたと聞きましたが、具体的にはどのような内容でしょうか。

 雇用調整助成金の新型コロナウイルス感染症の特例措置については数度に渡って申請手続きの簡略化が進められてきていますが、5月20日にさらなる簡略化が厚労省から発表されました。具体的な内容は、以下の通りです。

①小規模事業主の申請手続きの簡略化
 →小規模事業は実際に支払った休業手当額から助成額を算定
②オンラインによる申請開始
 →5月20日からオンラインの受付を開始
③休業等計画届の提出が不要に
 →初回を含む休業等計画書の提出が不要に
④助成額の算定方法の簡略化
 →平均賃金額や所定労働日数の算定方法が大幅に簡素化
⑤申請期限の延長の特例
 →特例期間中の休業の申請期限を8月31日まで延長

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 これらのうちで最も大きな変更点は、やはり①と④だと思います。従来助成額は、「平均賃金」(雇用保険被保険者の賃金合計×雇用保険被保険者数×年間所定労働日)に基づいて算定していましたが、小規模事業所については、

「実際に支払った休業手当額」 × 「助成率」 = 助成額

 という計算式になります。

 今回の特例の対象となるのは、「小規模の事業主」(=「概ね従業員20人以下」)です。あくまで「概ね」であるため、機械的に20人で判断されるわけではないと考えられますが、発表段階では正確な取り扱いは確定していません。申請用紙の枠は20人分しかないため、基本的には大きく上回ることは想定していないでしょう。 

 「概ね20人」のカウントは基本的には全労働者(労災保険の対象者)だと考えられますが、今後のQ&Aなどの公表を待つ必要があります。いずれにしても20人までの規模の事業所は有効に活用したいものです。


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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