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2020年6月11日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」24・新型コロナウイルスの雇用調整助成金の特例措置⑥

Q 雇用調整助成金は派遣労働者も対象となると思いますが、派遣先が休業補償を行った場合はどうなるのでしょうか。

koiwa.png 雇用調整助成金は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が雇用の維持を図ることが目的ですから、新型コロナウイルス感染症の特例措置も含めて、派遣労働者も対象となります。

 派遣元指針、派遣先指針では、派遣先の責に帰すべき事由により派遣契約の満了前に解除を行おうとする場合は、休業手当や解雇予告手当等の相当額以上について損害賠償を行うべきだとされています。コロナウイルスによる休業にあたっても、派遣先が派遣元に補償を行うケースもみられますが、このような場合、雇用調整助成金の取り扱いはどうなるのでしょうか。

 厚生労働省の「雇用調整助成金FAQ」では、4月24日版で新たに項目が追加され、「派遣先が派遣元に休業手当相当額の損賠賠償を行った場合であっても、派遣元は助成対象となります」と明確に回答されています。この項目は、全国からの多くの質問や照会を受けて反映されたものだと思います。

 なお、このFAQが示される前の雇用調整助成金疑義解釈集では、休業手当等について取引先等から補償がされた場合は、原則として補償額を控除した分しか支給されないとされていましたが、派遣労働者については例外であり、「派遣労働者の休業等に対して派遣先から派遣元に補償がなされる場合については、当面の間、これまでの運用によるものとする」(問04-23の2)とされ、派遣労働者は登録型、常用型を問わず対象労働者に含まれるとされています(問03-10)。

 派遣元が派遣先から休業について補償を受ける場合であっても、制度上は民間の損害保険等から給付を受けるようなケースと同様であり、派遣元は雇用調整助成金を申請することができます。事実上は同じ休業に対する「二重取り」ということにもなりますので、労働局やハローワークなどから実態の説明を求められることがありますので注意しましょう。


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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