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2020年7月21日

【ブック&コラム】ホントに必要?政府の出先機関

 新型コロナウイルスへの感染対策で目立つのは、政府機関の対応のまずさと県や市など地方行政機関の奮闘だ。東京、大阪などの知事が連日のようにメディアに登場して、各自の取り組みや国への不満や注文を口にする。都道府県庁の7~8割は国の委託事務といわれ、"平時"ならメディアが取り上げることは少ないのだが、今回は違っている。

c200721.png 外出自宅などを呼び掛けた緊急事態宣言に続き、今回の観光振興策「Go Toキャンペーン」でも、国はまたしても「地方の反乱」に遭い、軌道修正を余儀なくされた。そうした時、知事らの口から決まって出る言葉は「地方の事情に応じた対応を」であり、裏を返せば国はそれをしてこなかったことになる。

 一連の事態を見ていて不思議に思うのは、県庁所在地に置かれている政府の出先機関の存在意義だ。財務局、経済産業局、地方整備局、運輸局、農政局、厚生局など、大手省庁なら全国7~8カ所にこうした地方局を持っているが、多くの国民にとってこの種の行政機関はまったく身近に感じられない。それなりの仕事をしていればともかくだが、今回のコロナ対策では何をしているのだろうか。

 厚生局は各地によって異なる「緊急事態」の基になる感染情報などを厚労省に上げていたのか。経産省の持続化給付金の支給事務は経産局が窓口になるわけでもなく、電通に丸投げした。今回のキャンペーンでも、運輸局が地方の声を吸い上げて迅速に国交省に報告していれば、知事たちがここまで声を大にしなくても、「柔軟な対応」が実現したかもしれない。各地方局のホームページを見ても、コロナ関連事務の大半は県庁でできる内容だ。地方の役に立たない行政機関は、どうすべきなんでしょうね。(本)

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