コラム記事一覧へ

2020年8月13日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」33・新型コロナウイルス接触確認アプリについて

Q 新型コロナウイルス接触確認アプリが開発されていると聞きましたが、たとえば派遣会社ではどのような活用が可能ですか。

koiwa.png 厚生労働省(新型コロナウイルス感染症対策推進本部)から新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)が提供され、広く国民が活用することが推奨されています。COCOAは、スマートフォンの機能を利用してコロナウイルスの陽性者と接触した可能性について通知を受けることができる仕組みです。

 国の新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和2年3月28日)では、「クラスター対策の強化」について「スマートフォン開発会社が開発しているアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を活用した接触確認アプリについて、接触率の低減及び感染の拡大防止に寄与すること等の国民理解を得つつ、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)及び保健所等と連携することにより、より効果的なクラスター対策につなげていく」とされており、それが具体化された内容です。

c200813.jpg 利用者が1メートル以内、15分以上、陽性者と接触した可能性が判明した場合に通知を受けることで、早期の検査受診など保健所のサポートを受けることができます。スマートフォンに同アプリをインストールするだけで誰でもすぐに活用できるため、利用者が増えることで感染拡大の防止につながることが期待され、すでにダウンロード数は約1274万件となっています。

 この仕組みは医療従事者はもちろん、飲食店や接客業、社外で活動することが多い営業職などでも活用することが求められていますが、派遣会社における活用も有効だと考えられます。複数の派遣先を掛け持ちしたり、短期間で派遣先を移る派遣労働者もめずらしくないことから、派遣労働者の健康管理は就業先である派遣先においても課題となります。

 派遣会社としては派遣労働者にCOCOAの活用を推奨することで、派遣労働者自身の健康管理はもちろん、派遣先からの信頼性を高めることにも資するといえるでしょう。最近は就業前に検温を実施し、健康状態を自己申告させるケースも多いですが、自己保健義務の一環としてこのようなアプリも有効に活用をすすめていきたいものです。

新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

PAGETOP