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2020年10月15日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」42・来春施行の改正派遣法省令・指針について

Q 来春、派遣法がまた改正されると聞きました。具体的にはどのような内容が変わるのでしょうか。

koiwa.png 派遣法は、このところ3年に一回ほどのペースで本則改正されています。4月から派遣労働者の同一労働同一賃金が施行されていますが、それを拡充・補完するための省令・指針の改正が10月9日に公布されました。本則自体の改正ではありませんが、雇用安定措置の派遣労働者からの希望聴取、教育訓練やキャリアコンサルティングについての説明義務など、派遣労働者の雇用管理に影響が大きい見直しが盛りだくさんであり、事実上の派遣法改正に匹敵する内容といえるでしょう。

 平成27年と24年の改正派遣法は附則などで施行後の検討が求められていましたが、7月14日に労働力需給制度部会における13回に渡る点検・見直し作業を踏まえた「労働者派遣事業に関する議論の中間整理」が公開されました。検討とされていた論点のうち、「日雇派遣の原則禁止」「離職後1年以内の派遣禁止」「上限3年の個人単位の期間制限」については法改正が先送りされましたが、中間整理における議論を踏まえて新たに以下の点が省令・指針に盛り込まれることになりました。

・雇用安定措置の希望聴取(施行規則)
・マージン率等のインターネット公開(同)
・教育訓練等の内容の雇入れ時の説明義務(省令)
・派遣契約の電磁的記録による作成(同)
・派遣元による情報提供のインターネット利用(派遣元指針)
・派遣先の労働法上の義務の明確化(派遣先指針)
・日雇派遣の契約解除時の責任の明確化(同)

 上記のうち、教育訓練等の内容の雇入れ時の説明義務、派遣契約の電磁的記録による作成、派遣先の労働法上の義務の明確化、日雇派遣の契約解除時の責任の明確化については令和3年1月から、雇用安定措置の希望聴取、マージン率等のインターネット公開、派遣元による情報提供のインターネット利用については令和3年4月から施行されます。

 今回の改正は、派遣個別契約や派遣元管理台帳、雇入れ時の説明、インターネットでの公開といったコンプライアンスに直結する書式や様式の変更が求められる改正点が多いため、来春からの実務対応を確実にするための準備を万全にしておきたいものです。


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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