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2020年10月20日

【ブック&コラム】『「超」働き方改革』

分けると生産性が上がる仕組みを解明

c2010_1.jpg著者:太田 肇
筑摩書房、定価780円+税


 本書に提案されているマネジメント論は、結束を徹底して組織一体化を図るのとは正反対に「分ける」ことで強みを発揮していく手法だ。

 分ける対象は、①制度的分化(仕事)、②物理的分化(職場)、③時間的分化(キャリア)、④認知的分化(担当者明記)という4方向(4次元)。①仕事の分け方では、職務型・専門型に加えて自営型を考察し、今日的(近未来的)着目点を盛り込んでいる。また、②職場の分け方では、大部屋と個室の特徴を整理し、テレワーク・在宅勤務の可能性に踏み込む(同時に「自由と自己責任」の厳しさを指摘)。さらに、③キャリアの分け方では、独立支援(のれん分け)やプロジェクト参加を例に挙げ、長期雇用とは真逆の短期清算型人事でエンゲージメントが高まる仕組みを解説している。④担当者明記では、企画発案者の可視化や会議での発言者の記録などの具体策を紹介し、第三者の目にさらして名誉で働く機能に注目している。

 「個を埋没させる集団」より「1人ひとりが強いチーム」が勝る時代の組織運営のヒントが満載だ。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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