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2020年10月27日

【ブック&コラム】『地方に住んで東京に通う~コロナ時代の新しい暮らし』

地方とITのベテラン対談

c201027.jpg著者・森民夫、佐藤俊和
悟空出版、定価900円+税


 表紙を見れば、内容は一目瞭然。新型コロナウイルスの感染拡大の長期化により、東京と地方、会社出勤とテレワークなど、これまでの生活の"常識"がくつがえりつつある時節にピッタリの1冊だ。

 森氏は旧建設官僚から新潟県長岡市長に転身して全国市長会長も務めた、いわば中央・地方行政の裏表を知る政策マン。佐藤氏は経路検索ソフト「乗換案内」で知られる「ジョルダン」創設者で、今はフィンランド発祥のMaaSを採り入れ中。「ウィズ・コロナ」がビジネスや生活の前提になりつつある中、2人のベテランのZoom対談をまとめたものだ。

 「コロナで進むテレワークの導入」など17項目で構成。森氏は「地方創生」の立場から、市長時代に実現した政策を紹介しながら、地方に住むメリットを強調。佐藤氏は自社のテレワークの実態と、それを可能にする新しいIT技術を解説している。両者がうまく融合できれば「新常態」のモデルになり得る。

 残念なのは、Zoom対談という制約もあり、読みやすいものの議論が十分に深まらず、物足りなさが残ること。なぜ一極集中が止まらないのか、なぜ総合的なITインフラが整備されないのか、といった読者の素朴な疑問についてもう少し深堀りした解説があれば、説得力が倍増したはずだ。第2弾を期待したい。(俊)

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