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2020年12月15日

【ブック&コラム】"小出し"政策の限界

c201214.JPG 新型コロナの第3波が押し寄せてから、自宅にいる時間が再び増えたが、先日、仕事で久しぶりに都内に出たら、思ったより人波が多くて驚いた。日比谷公園では恒例のクリスマスイベントが開かれており、仕掛け人形が回る「クリスマスピラミッド」もお目見え=写真。例年より入場人数を制限しているというが、中に入ってしまえばやはり「密」になりがちで、結構な人出に見えた。

 第1波から10カ月ほどが過ぎ、第3波ともなると"コロナ慣れ"したためか、若者世代と高齢世代の間に大きな認識ギャップが出てきた気がする。日ごろから学校や会社に通っている人たちにとっては「ウィズ・コロナ」が日常化しており、もし感染しても軽症や無症状で済む人が多い。しかし、高齢者や病気持ちの人たちにとっては、重症化のリスクが高く、毎日のように感染者や重症者が増えている今の状況は、まったく他人事ではない。

 対策もチグハグだ。これだけ感染者が急増して、病院側が「医療崩壊」の悲鳴を上げ、地方自治体が感染抑制に四苦八苦している一方で、政府は「経済対策」と称してGoToキャンペーンをやめようとせず、感染急増地域に限定して対象からはずすという"小出し"に終始してきた。政権支持率が急落するに及び、ようやく年末年始のGoToトラベルを一時停止したが、手遅れに近い。

 両者のバランスを図るむずかしさはよくわかるが、コトここに至っては不可能ではないだろうか。どちらかに舵を切るしかない。となれば、今やることは決まってくる。こんな中途半端なやり方を続ける限り、高齢層は動かないだろう。「若者世代だけで経済は回る」とでも考えているなら、とんでもない間違い。お金を持っているのは高齢者なんですよ。(本)

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