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2021年1月 7日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」53・2021年の労働法改正

Q 新たな年を迎えましたが、今年も「働き方改革」への対応をはじめとする企業にとっても重要な労働法の改正が続く年になるといわれています。新型コロナウイルス感染症をめぐる動きも気になりますが、2021年の労働法改正の流れを簡単にお教えください。

 新年、明けましておめでとうございます。今年もコラムを担当させていただく、社労士の小岩です。引き続き、よろしくお願いいたします。

koiwa.png 2021年もさまざまな労働法改正が予定され、また改正への議論が深まることが予想されますが、中でも昨年4月から大企業と派遣労働者に適用されている「同一労働同一賃金」は、今年4月から中小企業も含めて全面施行されることになります。昨年10月には同一労働同一賃金をめぐって最高裁の判決が相次ぎましたが、業務範囲、責任の程度の整理や諸手当などの見直しも含めて、中小企業の非正規雇用の待遇の整備は急務だといえるでしょう。すでに確定している2021年の主な改正点には、以下のようなものがあります。

2021年1月~ 子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得
3月~ 障害者の法定雇用率の引き上げ
4月~ 同一労働同一賃金の施行(中小企業)
70歳までの就業機会確保の努力義務化
中途採用比率の公表義務化(常用雇用労働者数301人以上の事業主)

 育児・介護休業法における看護休暇や介護休暇は、従来は半⽇単位での取得が原則で所定労働時間4時間以下の労働者は取得できませんでしたが、1月からはすべての労働者が1時間単位で取得できるようになりました。時間単位で取得することが困難な業務がある場合は労使協定によって対象から除外することができる点が、実務上は重要な視点となると思います。

 高年齢者雇用安定法の改正により70歳までの就業機会確保措置が努力義務とされ、①定年延長、②定年廃止、③継続雇用制度、④70歳まで継続的な業務委託契約、⑤70歳まで継続的に社会貢献事業などに従事のいずれかを実施するように努めなければなりません。③~⑤については対象者を限定することもできますが、その場合は過半数労働組合や過半数代表者の同意を得ることが望ましいとされています。

 派遣法については省令や指針の改正が、1月と4月に相次いで施行(適用)されることになります。法律本則の改正ではありませんが、派遣労働者の雇入れ時の説明や派遣元管理台帳、派遣個別契約など実務に直結する改正点が多くありますので、この点については回を改めて詳しく触れたいと思います。

 新たな年がスタートしましたが、新型コロナウイルス感染症による雇用・経済への影響が懸念される状況が続いています。一方、新たな生活様式に対応したテレワークやオンラインの仕組みを使った営業活動、ワーケーションなどの実践も飛躍的に進み、従来の出社義務を課した雇用・就業のあり方自体が問われつつあります。今年はそのような目線や動向も意識しつつ、労働法や労務をめぐる実務テーマについて、少しでも皆様のお役に立てる情報をお伝えしていければと思います。


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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