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2021年2月11日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」58・派遣法省令・指針の改正②

Q 令和3年の派遣法省令・指針改正のうち、派遣契約に係る事項の電磁的記録による作成について、実務上のポイントを教えてください。

koiwa1.png デジタル化の推進やテレワークの増加などによって電子文書や電子申請の普及が加速しています。民間事業者の扱う書面などの電子化については「e-文書法」で規定され、厚労省管轄の法令については省令が制定されていますが、派遣法関係で認められていたのは、派遣元管理台帳、派遣先管理台帳のみでした。 そこで1月の省令改正により、派遣契約(個別契約)の電磁的記録による作成・保存が認められることになりました。

 派遣契約は、業務内容や就業場所、派遣期間や就業時間、安全衛生や苦情処理などについて派遣契約単位ごとに締結しなければなりませんが、従来は省令で「書面に記載しておかなければならない」とされ、データによる作成や保存などは認められていませんでした。この点、派遣元管理台帳は電子化が認められていましたから、実際の実務対応や保存・管理などの場面では非効率だという声も聞かれました。

 改正後は電子的記録による作成が可能ですので、①電子データをパソコンやクラウドシステムなどのファイルやディスクに保存する方法、②スキャナなどで読み取ったデータをパソコンやクラウドシステムなどのファイルやディスクに保存する方法で対応することができます。ただし、契約書を電子化する場合は、必要に応じて電磁的記録の事項を出力し、直ちに明瞭・整然とした形式でパソコンのディスプレイなどに表示したり、印刷して書面を作成できることが求められますので、十分に注意しましょう。

 派遣業務システムなどを活用することで契約書類や台帳関係を作成・管理している派遣元も少なくないと思いますが、そういった場合は格段に業務の効率化が進むことになります。これを機に、必要に応じて契約関係の作成・管理の方法を見直しなども進めたいものです。


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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