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2021年2月25日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」60・派遣法省令・指針の改正④

Q 令和3年の派遣法指針改正では、日雇い派遣労働者の派遣契約解除時の派遣元の責任の明確化が盛り込まれたと聞きます。具体的には、どのような内容ですか。

koiwa1.png 派遣労働者が、派遣労働者自身の責に帰すべき事由以外で派遣契約を解除された場合については、新たな就業先の確保や休業手当の支払いなど派遣元が負うべき責任が派遣元指針に明記され、実際にそのような取り扱いが厳しく守られています。ところが日雇い派遣については別途日雇い指針に依っているため、日雇い以外の派遣労働者とは取扱いが異なり、派遣契約の解除について、以下の点がうたわれていました。

 ①派遣先都合の解除の場合の派遣元の合意
 ②派遣元と派遣先の連携による新たな就業機会の確保
 ③新たな就業機会の確保ができない場合の損害賠償
 ④派遣先から派遣元に対する解除の理由の通知

 日々雇用の派遣はもちろん30日以内の期間を定めて雇用する派遣労働者は日雇い派遣に該当しますから、たとえばいったん有期の派遣契約が完了し、契約更新をするだけの仕事量がないことから、新たに30日以内の派遣契約を締結したような場合も含まれます。1日から数日といった比較的短期の派遣の場合は、派遣元都合や派遣先都合による契約解除の際の責任が不明確になりがちであり、従来から日雇い派遣労働者の契約解除時の対応については不備が指摘されていました。

 そこで1月からの日雇い指針改正により、特に③の損害賠償の内容について従来労基法の休業手当との関係があいまいであった点が見直され、派遣元指針とほぼ同様の文言が盛り込まれることになりました。日雇い派遣労働者の責に帰すべき事由以外によって派遣契約の解除が行われた場合、新たな就業機会の確保ができない場合であっても休業を行い、休業手当の支払いなどの労基法などに基づく責任を果たすべきことが明確にされました。あらためて休業手当の支払いなどのコンプライアンス遵守を徹底していきたいものです。


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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