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2021年3月 2日

【ブック&コラム】『給与クライシス』

脱メンバーシップ型社会で生きる知恵

c2102.jpg著者・平康 慶浩
日経BP、定価850円+税


 テレワークの拡大は「脱メンバーシップ型」を加速させると確信する著者は、今起きている変化を、①働き方、②キャリア、③給与、に分けて深掘りし、改めて「給料は何に対して支払われるのか」と原点を問う。

 各自がそれぞれの場所・時間で働く状況では"みんながそろってがんばる"価値が物理的に成立しない。従って個人の責任・権限で求められる成果を短時間のうちに達成する働き方が期待され、その結果、生活費残業は消滅し、成長がなければ年功差も昇給もない処遇に行き着くと明かす。職場内OJTが機能しない構造にあって、能力を磨いていくには外部での学びが有効であり、新しいコミュニケーションを形成する場にもなるとメリットを示唆する一方、所属するだけ、顔を出すだけでは不足であり、価値をキャッシュに転換する行動選択をセットで求めている。

 果たして読者は今いる会社で働き続けるべきか? この命題に対しては、判断材料として従業員の側から管理職・役員の技能・知識・技量をチェックする15項目のシートを掲載していて、要注目だ。


(久島豊樹/HRM Magazine より)

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