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2021年4月22日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」68・派遣労働者の待遇改善に向けた対応マニュアル④

Q 派遣労働者の「賃金見直しに対する労働者の不備を解消できていない」「各人の業務の内容や能力を待遇に反映させる仕組みができていない」という場合の対応方法は?

koiwa1.png 「派遣労働者の待遇改善に向けた対応マニュアル」では、「賃金見直しに対する労働者の不備を解消できていない」「各人の業務の内容や能力を待遇に反映させる仕組みができていない」といった例が紹介されています。前者は労使協定方式、派遣先均等・均衡方式に共通の、後者は労使協定方式の「困りごと」とされています。対応策として、前者については派遣労働者の状況に応じて賃金見直しの仕組みや根拠資料を用いた説明、後者については等級制度・賃金制度・評価制度を設計して個々の派遣労働者の待遇決定といった方策が述べられていますが、いずれも派遣労働者の納得性を得るための説明とそのための根拠が必要という点では共通しています。

 特に労使協定方式では、「派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を公正に評価し、その賃金を決定すること」(30条の4第3項)が義務とされているため、何がしかの賃金制度や評価制度を導入して運用することが必要となります。マニュアルでは、「E社の事例」として「愛知県 主に製造業向けの派遣事業」の事例が紹介されていますが、典型的な等級制度によってA評価(最も高い)を2回以上受けた者は昇級(昇給)させる例となっています。例示のような製造業務などではとりわけ参考にしやすい制度だといえるでしょう。

 蛇足になりますが、筆者は100社以上の人事制度の構築に携わった人事コンサルタントと協力し合って「人事パック・派遣業版」を開発し、キャリアアップに資する教育訓練計画なども評価項目として活用する評価制度を構築・運用しています。簡易なものですが、以下のようなフローで最短2か月程度で導入できるため、昨年の法改正からさまざまなご依頼に対応してきました。ひとつの実践例として参考にしてください。

【評価制度設計の流れ】
①企業情報の入力、全体スケジュールの決定と共有
②キャリアアップ教育訓練内容の確認、派遣業務ごとの評価項目を選択
③評価項目着眼点の修正 (等級定義書<仮>の送付)
 評価制度及び賃金制度運用ルールの入力(評価シート<仮>の送付)
④人事資料の確認と修正 (人事資料一式<仮>の送付)
⑤人事資料の完成 (人事資料一式<確定>の送付)


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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