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2021年6月22日

【ブック&コラム】既得権の塊!議員歳費法

 今年の通常国会が16日に閉会した。来月から東京オリンピック・パラリンピックという国家行事が"強行"される一方、新型コロナの感染収束がまだ見えて来ない時期だ。日本列島がワクチン接種に忙殺されている時期の閉会。野党が「閉めている場合か」と延長を主張したが、与党は「やることないから」と取り合わず、実質的な総選挙モードに入っている。浮世離れした世界だと、改めて思う。

c210622.jpg 今国会で最も目立ったのは、「議員特権」の理不尽さだ。河井克行夫妻の選挙違反事件、菅原一秀氏の金品配布事件、吉川貴盛氏の鶏卵汚職事件をはじめ、松本純氏ら3議員の銀座豪遊・ウソつき事件など、不祥事のオンパレード。しかも、皆さん、離党届を出して、それで終わり。自民党も「本人に説明責任がある」と言うだけで、だれ一人国民に説明しないまま辞職や雲隠れでお茶を濁した。

 さすがに、選挙違反事件では巨額の議員歳費の返還問題が取り上げられ、公明党は一部を返還させる案を発表したが、自民党は消極的だ。その根拠が「憲法49条」というから、49条をみたら、「両議院議員は法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける」としか書いていない。その法律を探したら、「議員歳費法」があり、そこに支給額などの詳細が載っていた。よく読むと、乗り物の無料パスまで含め、議員特権の塊のような法律であり、今回のような不祥事の際の返還といった不都合な規定はない。1年以上に及ぶ規制で青息吐息の宿泊業者や飲食店経営者らはどう思うだろうか。

 永田町の常識は社会の非常識。憲法を持ち出すまでもなく、歳費法を改定すれば済む話だが、既得権を手放そうとしないのは国会議員も同じ。新聞やテレビは国民感情に訴えるこの種の問題をもっとしつこく追及すべきだ。今度の総選挙では歳費問題について、どの党がどのような公約を出してくるかに注目したい。これまで「逃げ得」を許し続けてきた結果が今回の不祥事群だから。この際、少しは国会の「良識」を示したらいかがだろうか。(俊)

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