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2022年1月 4日

【ブック&コラム】『「給与明細」のカラクリ』

勤労者が手取りを増やすヒント

c210900.jpg著者・梅田泰宏
青春出版社、定価1012円(税込)


 「基本給も役職手当もみなし残業代も同じなのになぜ金子君の手取り額のほうが高いのか?」と焦る高橋君に公認会計士・税理士の梅田先生がレクチャーしていく掛け合い仕立ての解説だ。人事労務系の読者にとっては、給与と控除の関係、所得税・個人住民税・社会保険の仕組み、年末調整の意味などのおさらいにちょうどいい入門書となりそうだ。

 一方、1人の勤労者からすると"真面目に働いて普通に書類を提出しておけば、会社も役所も悪いようにはしないだろう"とやり過ごしていたのでは認識が甘すぎると気づかされる。脱税目的で悪知恵を働かせるのは論外としても、優遇政策の知識を得て必要なアクションをとり、適切に申告すれば手取り額は増えるという税の仕組みは知らなかった人ほど衝撃を受けるはずだ。配偶者控除と配偶者特別控除の違い、iDeCoやふるさと納税の利用によって手取り額が増える現実を社員の皆さんは理解しているだろうか。

 会社が損をするわけでもないので、いっそ本書を社内に配布し、積極的に啓蒙を進めてはいかがだろう。


(久島豊樹/HRM Magazine より)

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