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2022年4月12日

【ブック&コラム】「文通費」合意のひどさ

 国会議員の「文書通信交通滞在費」の名称を「調査研究広報滞在費」に変更し、これまでの毎月定額支給を日割り支給にすることで、共産を除く各党が合意したという。昨年10月の衆院選をきっかけに明るみに出てから、使途公開も含めて議論になったが、肝心な公開問題は先送りとなった。半年もかけてやっと出た結論がこれだ。ある程度予想はできたが、ここまでひどい見直しになるとは。

c210622.jpg ひどさの理由の一つは、お手盛りで得た既得権を手放そうとしない議員たちのいじましさだ。今回の"改正案"だと使途はさらに広がり、それが公開されなければ、どんちゃん騒ぎの飲み食いに使ってもOKとなる。現に、コロナ下の外出自粛期間中、それを実践した不心得議員が複数いた。議員歳費が本当に足りないのなら、なぜ堂々と議論しないのか。

 もう一つは、この時期に合意したことが、コロナ禍やウクライナ情勢といった社会的関心事に隠れて、こっそり決めたとしかみえない点だ。日割りだけなら、昨年のうちにできたはずではないか。こう言うと、「国家的な大問題に比べれば、文通費などささいな問題」「大事の前の小事」など、開き直りの弁が必ず聞こえてくる。そうだろうか。

 自分の頭の上のハエも満足に追えない人たちが、国民の命運を左右する法改正や決定を判断する能力があるかどうか、きわめて疑わしい。この調子では、使途公開の議論は"持久戦"の末にうやむやになるだろう。これから物価上昇が本格化しようという時に、「お手盛り合意」で逃げ切りを図る姿を国民はどう見るか。マジメになってほしい。(間)

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