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2022年9月20日

【ブック&コラム】『オッサンの壁』

男性優位デフォルト社会を壊すために

c2208_1.jpg著者・佐藤 千矢子
講談社、定価990円(税込)


 均等法第一世代の著者は毎日新聞の記者としてキャリアをスタートさせ、1990年には"男社会"の政治部に配属、2017年には政治部長に就いた。この間、「女性初の○○」と紹介される機会も多く、都度ジェンダーギャップを実感していたと語る。

 その後、公平処遇・活躍支援の社会政策は進展したものの、人々の意識が変わらないもどかしさは残るとの思いから、本書では自身の職業人生と知人らへのヒアリングをベースに考察を進め、男性優位デフォルト社会の矛盾(=オッサンの壁)の正体に迫っている。その過程ではセクハラ案件も"避けては通れない"と覚悟し、地方記者時代の警察・消防関係者、政治部記者時代の政治家・秘書らの振る舞いを打ち明け「反省しないオッサン社会の深い病」を指摘している。

 オッサンの壁は越える対象ではなく壊すものだとの確信を得て、「最低3割を占めればジェンダーなど気にしなくて済む」との感覚値から、数を増やす戦略を導くとともに、発言力と経済力の関係にも着目し、女性が稼げる社会の実現を求めている。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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