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2025年5月27日

【ブック&コラム】『静かに分断する職場』

コミュニティの力を取り戻すために

c2505_2.jpg著者・高橋 克徳
ディスカヴァー・トゥエンティワン、定価1430円 (税込)


 個々人が目の前の仕事を一生懸命にやっているだけの状態は「閉じこもる働き方」だと著者は危惧し、同僚が助け合える仲間ではなく、人との関係が希薄化している組織の問題点を指摘する。

 「仕事が面白い、職場が楽しい、会社が好きだ」という活力はバブル崩壊以降に失われたと振り返り、その原因は目の前の生産性にこだわるあまり設備投資と配当を逆転させてしまった構造改革にあったのではないかと疑いを強くする。さらにコロナ禍では物理的な分断も起き、見えない壁がエンゲージメントを下げていると憂う。本質的な対話がなく、互いに距離を置いている状態を「静かな分断」と定義し、それを乗り越える組織開発のアプローチを「5つのカギ」に整理。また、静かな分断を超えるためのテーマを7つ(仕事、働き方、職場、管理職、リーダーシップ、未来、会社)列挙し、メンバーと対話し、探求するワークを紹介している。

 コミュニティの力を取り戻そうとする強い決意と、違いがあっても対話をあきらめない粘り強さがにじむ"熱い"内容だ。


(久島豊樹/HRM Magazine より)

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