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2025年7月31日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」287・2025年の年金制度改革⑦

Q 年金制度改革法に盛り込まれている項目のうち、施行時期について具体的に教えてください。

koiwa24.png 年金制度改革法(社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律)が、6月13日の参院本会議で可決成立し、順次施行されます。今回は、各項目の施行時期についてまとめます。

 年金制度改革法の施行日は、原則として「令和8年4月1日」とされていますが、例外の試行期日の方がかなり多いため、具体的に各論ごとの期日を押さえないと実務上も大きな誤りをしてしまうことになりかねません。以下に、令和8年4月1日の施行日以外の「例外」を整理します。

1.被用者保険の適用拡大等 令和8年10月1日(保険料負担割合の変更)
令和9年10月1日~(企業規模要件) 公布から3年以内の政令で定める日(賃金要件)
令和11年10月1日(常時5人以上の個人事業所を適用事業所に)
2.在職老齢年金制度の見直し
3.遺族年金の見直し 令和10年4月1日~(遺族厚生年金の男女差別解消)
4.厚生年金保険等の標準報酬月額の上限の段階的引き上げ 令和9年9月1日(68万円へ引上げ)
令和10年9月1日(71万円へ引上げ)
令和11年9月1日(75万円へ引上げ)
5.将来の年金給付水準の底上げ 公布日(令和8年5月20日)
6.私的年金制度の見直し など 公布から3年以内の政令で定める日(個人型確定拠出年金)
公布から5年以内の政令で定める日(企業年金の運用の見える化)


 以下の国のリーフレットの表と併せて参照すると分かりやすいと思いますが、企業の実務の視点からは、ひとまず被用者保険の適用拡大と厚生年金の標準報酬月額の上限の段階的引き上げについて、具体的なスケジュール感を共有しておくことが必要だといえるでしょう。年金制度改革法については、今後さまざまな具体的な運用基準や実務取り扱いなどが公表されていくと思いますが、常にどの改正内容のいつの施行期日のことを指しているのかを確認しつつ、実務内容の理解や現場への周知などに努めていきたいものです。

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(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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