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2025年12月11日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」306・マイナ保険証への切り替えについて

Q 12月2日から従来の健康保険証は使用できなくなりましたが、マイナ保険証を持っていない場合はどうなりますか。

koiwa24.png 今年の12月1日をもって、昨年の12月2日から1年間だった従来の健康保険証の有効期間が満了となり、マイナ保険証の利用が本格化しています。医療機関等の窓口では、マイナ保険証もしくは資格確認書を利用して受診等を行うことになり、従来の健康保険証の時代は終わりました。

 ところが、ついうっかり従来の健康保険証を持参してしまったり、何らかの事情があってマイナ保険証や資格確認証を持参できない場合は、医療機関等の窓口での対応はどうなるのでしょうか。この点について、厚生労働省が11月12日に発出した事務連絡では、以下のように記載されています。

マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行について(周知)
厚生労働省保険局医療介護連携政策課、令和7年11月12日、事務連絡

(2)移行期における暫定的な取り扱い
 12月2日以降、期限切れに気がつかずに健康保険証を引き続き持参してしまった患者や、保険者から通知された「資格情報のお知らせ」のみを持参する患者については、保険証等単体で有効なものとして取り扱うものではありませんが、加入している保険者によらず、保険給付を受ける資格を確認した上で適切に受診が行われるよう、被保険者番号等によりオンライン資格確認等システムに照会するなどした上で、3割等の一定の負担割合を求めてレセプト請求を行うこととする運用は、暫定的な対応として差し支えないと考えます。こうした対応は令和8年3月末までの暫定的な対応であり、次回以降の受診時にはマイナ保険証か資格確認書を必ず持参いただくよう呼びかけて下さい。


 この事務連絡によると、「保険給付を受ける資格を確認した上で適切に受診が行われるよう、被保険者番号等によりオンライン資格確認等システムに照会するなどした上で、3割等の一定の負担割合を求めてレセプト請求を行うこととする運用は、暫定的な対応として差し支えない」とされています。ルール上の取り扱いとして積極的に認めているものではないものの、被保険者番号等から資格情報を確認できる場合には、令和8年3月末までは事実上の暫定的な取り扱いを認めていると考えられます。

 この点について、厚生労働省が実施したセミナー資料では、以下のような流れが図示されています。「3割等の一定の負担額を求めてレセプト請求を行うことも可能」とされており、あくまで窓口の裁量・判断となりますが、実務的には来年3月末までは従来の健康保険証の使用も認められる流れとなります。

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(厚生労働省保険局「マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行に向けた準備セミナー」資料より)

 次回以降はマイナ保険証か資格通知書を持参するよう促すことが必要とされているため、マイナ保険証への切り替えがスタートしているという認識を広く共有することが大切ですが、緊急的な通院などやむを得ない場合の対応として、頭の片隅に置いておきたいものです。

(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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