「不正」が自然発生するリスクを警告
著者・秋山 進
日経BP /日本経済新聞出版、定価1100円(税込)
公表されている第三者委員会報告書などから、有名企業の不祥事を実名で追い、問題点を見直していく論考。①会社の事業計画や投資意思決定、②経営者の意思決定、③時代の変化と自社のあり方との不適応、の3章に分類し、組織に潜むリスクを再検証していく。
マスコミが叩き、SNS上で炎上するような"決めつけ"は退け、単純化できない事情を多角的に捉えようとする視点は特に興味深い。ハラスメント問題と結論づけられた案件も,時系列で確認すると、プロジェクトマネジメントの能力不足によってリスク見積が甘くなり、ハラスメントは最後の引き金に過ぎないことが分かる。ケイパビリティ(能力・設備・人材)がない状態で,競争参加を強いられている事業では,不正しか手段がなく、現場が犠牲的立場に追い込まれているとも指摘。誰かが悪意を持って不正を命じるケースはまれで、何としても乗り越えたいとする空気感から、不正が自然発生する危うさを報告する。
「報道されている問題」と「真に問うべき問題」を切り分けた冷静な分析眼に要注目だ。
(久島豊樹/HRM Magazine より)






















