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2015年11月30日

ランスタッドの新社長に就任した猿谷哲氏に聞く(上)

「人材サービスのさらなる社会貢献に自信」

 空前の人手不足、多様化する就労形態、改正労働者派遣法の施行など、人材ビジネス業界を取り巻く環境は激変している。大手各社はどのような展望を描いているのか。質の高いサービスとグローバルブランドのさらなる浸透に注力するランスタッドは今年10月、社長兼COO(最高執行責任者)に40歳の猿谷哲副社長を昇格させ、かじ取りを託した。猿谷氏は、「総合人材サービス企業としてナンバーワンのサービスを提供できる組織にする」と宣言した。(大野博司・報道局長兼労政ジャーナリスト)

―― ランスタッドの今後の方向軸をどう見据えていますか。

is151130.jpg猿谷 当社は4年前に、外資系企業向けの人材派遣・人材紹介に特化したランスタッド、事務系派遣のフジスタッフ、製造請負系のアイラインの3社を経営統合し、総合人材サービス会社としてスタートしました。以降、学生・主婦のアルバイトから派遣、プロフェッショナル人材の紹介まで、あらゆるキャリアをきめ細かく提供できたと考えています。これこそが統合の成果であり、同業他社との差別化につながっていると自負しているところです。

 こうして進化させた各カテゴリーですが、今後はこれらをどうシームレスな(切れ目のない)サービスとして向上させていくかが課題です。例えば、有期の派遣社員で正社員希望の人たちの要望をいかに実現に結び付けていくかといった取り組みです。アドバイザーやキャリアコンサルタントらの役割がとても重要になってくるので、人材育成に努めているところです。

―― 社長就任時に社員に伝えたことの柱は何ですか。

猿谷 副社長に就いた今年1月に策定した中期経営計画に基づいて、①視点を外部に向けた組織、②透明性のある組織、③多様性と活力のある組織――の三つを兼ね備えた組織体制を構築しようと呼び掛けました。

 社員一人ひとりが、より顧客ニーズの掌握に努めること。そのためには、意見や提案を自由に言える風通しの良い組織を目指す必要があります。ワーキングマザーなどさまざまな人材が最大限の力を発揮できる体制を強化しようという狙いです。

―― 人材サービス企業の果たしている役割が、十分に社会に理解されていない側面もありますが。

猿谷 実績をしっかり積み重ねていくことが不可欠だと考えています。社会的認知や評価がまだまだ低い点は認めざるを得ません。米国におけるファイナンシャルプランナーのように、日本におけるキャリアコンサルタントの地位をもっと高めていかなければならないと思います。

 当社の派遣スタッフなどが、ここでキャリアを磨くことができたという実績を積み重ねていけば、それが情報発信になります。発信の内容は行政や業界団体と個別企業では役割が違うと思いますが、我々としてはサービスの高度化に努めていくことが何よりも大切です。 (つづく)

 

猿谷 哲氏(さるや・さとし) 1975年10月、群馬県出身。高崎経済大学経済学部卒業。日興証券を経て、経営統合前のフジスタッフホールディングス傘下の旧アイラインに営業担当として入社。ランスタッド統合後、営業企画本部長、首都圏本部長、取締役などを経て2015年1月から副社長。10月に社長兼COOに就任。ランスタッドは本部をオランダに持つ世界最大級の総合人材サービス企業で、国際人材派遣事業団体連合(Ciett)の会長を2代連続で輩出中。日本法人の本社は東京都千代田区。14年の売上高約650億円。

 

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