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2019年11月11日

◆経済トピックス◆人気回復した東京モーターショー

次世代技術に浮沈掛ける自動車業界

 先日、東京モーターショーへ出かけた。私にはおよそ30年ぶりのモーターショー。会期末の連休とあって、東京・有明の会場は入場客でごった返していたが、人波以上に私が驚いたのは、子供連れの家族が多かったこと。年々、人気ダウンのモーターショーと聞いていたが、「今年は少し違うな」と感じた。(本間俊典=経済ジャーナリスト)

  「違うな」と感じたのは、それだけではない。30年前はバブル真っ盛りで、メーカー各社は500万円、600万円という高級車を「これでもか」という感じで次々と投入し、会場には“バブル車”が所狭しと並んでいた。「同じ車種でも、値段の高い方から売れる」と豪語する広報担当者の説明に私はシラけ、「こんなことがいつまでも続くはずはないよね」と毒づいたものだった。

sc191111.jpg 今回も、開発新車やコンセプトカーは変わらず並んでいたが、その中身はサマ変わりしていた。ガソリン車は影をひそめ、ハイブリッド車やEV(電気自動車)が主役の座を占めており、ITを使った自動運転車も展示されていた。華麗なスタイルを競った時代から、技術革新の時代に入っていることが改めて印象付けられた=写真

 日本自動車工業会によると、国内メーカー9社を合わせた売上高は2018年度で73兆円。名目GDPが549兆円だから、GDPの13%を占める計算だ。自動車産業は長年、日本経済を支える「1割産業」と言われてきたが、現在はデフレで伸び悩むGDPを超える「1割以上産業」となっている。

 1990年代のバブル崩壊と長期デフレによって、日本は多くの産業が業績不振に見舞われた。加えて、90年代後半から世界を席巻したIT革命に乗り遅れたため、自動車と並ぶ基幹産業だった電機業界は多くの企業が経営不振にあえいだ。

 自動車も例外ではなく、国内市場は縮小の一途。自工会によると90年当時の新車販売台数(乗用車、軽も含む)は500万台を超えていたが、17年は430万台まで減少している。電機業界のように“沈没”しなかったのは、世界市場への積極進出と国内外メーカーとの合従連衡によって生産を伸ばしたのが奏功したからであり、仏ルノーと提携して業績を回復した日産自動車がその好例だ。

「CASE」の将来担うのは子供たち

 しかし、その自動車業界が今、歴史的な転換点を迎えている。それは「CASE(ケース)」と呼ばれる潮流だ。CASEは「Connected(コネクテッド)」、「Autonomous(自動運転)」、「Shared & Services(カーシェアリングとサービス)」、「Electric(電気自動車)」の頭文字をとった造語で、世界中のメーカーが開発競争を展開している次世代技術のこと。これが業界の未来を左右する衝撃をもたらしているという。

 インターネットの発展は私たちの生活を大きく変えたが、その流れが自動車にも本格的に押し寄せてきた。車はもうガソリン燃料の「輸送機械」にとどまらず、CASEを搭載した“IT機器”になろうとしている。そのためにはこれまでの業界技術だけでは戦えず…

 


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