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2021年5月31日

企業の22年大卒面接・選考解禁

内定早出し目立つも、就活継続が多数

 来春卒業の大学生・大学院生に対して、6月から企業の面接・選考が解禁となる。すでに内定を得ている学生も多く、今後は企業による内定学生の"囲い込み"も本格化すると予想され、コロナ禍にもかかわらず企業側の採用意欲は衰えていないようだ。(報道局)

 企業側の内定出しは、かなり早まっている。ディスコによると、5月1日時点の内定率(速報)は58.4%で、1年前の50.2%を8.2ポイント、2年前の51.1%を7.3ポイント上回っている。昨年のこの時期は初の緊急事態宣言下で企業の採用活動も後ろ倒しを余儀なくされたが、今年は企業も学生も"コロナ慣れ"しており、コロナ以前の2年前に比べてもかなり高い内定率となっている。

 リクルートの調査でも、5月15日時点で59.2%(同10.0ポイント増)、マイナビの調査でも4月末までの内定率は33.7%(同8.2ポイント増)となっており、ほぼ同じ傾向にある。

sc210531.png ディスコが5月中旬、全国の企業1195社から回答を得た緊急調査では、採用予定数について「21年卒と同程度」が63.1%と最も多かったが、「21年卒より増やす」も20.1%あり、「21年卒より減らす」の13.0%を上回った=グラフ。「増やす」企業の割合が高い業種は「商社・流通」(23.7%)、「IT」(23.1%)などで、企業規模では従業員1000人以上の大企業が23.1%と最も高い。

 リクルートワークス研究所が4月27日に発表した22年卒の大卒求人倍率は1.50倍で、昨年の1.53倍をやや下回ったものの、同研究所は「大手企業を中心に採用意欲は底堅い」と分析している。しかし、従業員300~1000人未満の中堅企業やコロナに直撃されている飲食・宿泊業種では採用減の動きが多いという。

 コロナ禍の長期化にもかかわらず、企業の採用意欲がそれほど衰えていない理由について、多くの就活関係者は、(1)米国や中国など、世界の主要国でワクチン接種が進み、企業活動が回復しつつある(2)日本国内も製造業を中心に回復傾向にあり、飲食・宿泊業など一部業種との間で、景況が「K字型」を描いている(3)企業側がコロナ対応のノウハウを取得して業務効率を上げており、ワクチンの普及によって年度後半には経済活動が回復するとみている――などの点を挙げている。

 一方、内定出しが早まっている点については、(1)コロナの感染拡大による外出抑制で面接のオンライン化が急速に進み、企業の採用活動が効率化された(2)経団連が長年申し合わせてきた採用活動の指針に対して、非加入企業などによる早期内定や加入企業の"フライング"などが増え、指針の形骸化が進んでいる(3)企業側の望む人材像が重なりがちで、特定の学生に早期内定を出す傾向が強まっている――などが指摘されている。

過半数学生が複数社に内定

 しかし、学生側が早期内定を得た企業は、いわば「滑り止め」にしているケースも多く、...


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