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2021年6月21日

「2割実施」で推移のテレワーク

動き鈍い企業、通勤制度に執着?

sc210621.jpg 政府が推進しているテレワークが容易に広がらない。多くの企業がテレワークを「コロナ禍を乗り切る緊急避難措置」と位置付けており、「日本の働き方を根本的に変えるきっかけ」という認識が薄いためだ。政府は間近に迫った東京オリンピック・パラリンピックに備え、今年は7月19日~9月5日を「テレワーク・デイズ2021」として、期間内の積極的な実施を呼びかけているが、それが本格的な定着に結び付くかどうか視界不良だ。(報道局)

 日本生産性本部が被雇用者を対象に定期実施している「働く人の意識調査」によると、今年4月時点のテレワーカー比率は19.2%で1月時点の22.0%から2.8ポイント減少し、昨年5月時点の31.5%から大きく減少したまま「2割実施」状態で推移している。政府目標の7割には遠く及ばず、企業や国民の「コロナ慣れ」が背景にある。

 エン・ジャパンが4月に発表した1~3月のテレワーカー比率は18%で、アデコが同月発表した調査でも1~2月にテレワークを実施した企業は35.2%だった。注目すべきは、テレワークの導入済み企業のうち15%が「今後は縮小・廃止予定」と考えており、導入していない企業のうち「今後も導入予定はない」が20%を占め、テレワークに消極的な企業が3割以上あったことだ。

 昨年4月以降、コロナ対策であわてて広がったテレワークだが、1年以上過ぎてそのメリット、デメリットが次第に明らかになっている。働く側にとって、テレワークのメリットは多い。通勤時間がない、会議時間の低減、自分のペースで仕事ができるなどの理由で、育児や介護との両立に苦労している女性たちを中心に支持されている。

 その半面、職場仲間とのコミュニケーションが取りにくい、孤独になりがち、長時間労働になりがち、自分の仕事が正当に評価されているかどうか不安、といったデメリットを指摘する声も多く、企業側にとっても「部下の仕事時間の管理」に頭を痛める上司が多いことがわかっている。

 もう一つの課題は、テレワークは業種によって大きなバラつきのあること。労働政策研究・研修機構が4月に発表した定期調査によると、テレワーク実施率の高いのは情報通信業がダントツに高く、サービス業や製造業も比較的高い一方、小売業、運輸業、サービス業の中の医療・福祉業などは低い。また、企業規模が小さくなるほど、ITの導入が遅れている企業が多いこともあり、実施率は低くなっている。

 実施率の差は、元々がITツールを日常的に使う情報通信業がテレワーク環境になじみやすいのに対して、...


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