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2021年10月 4日

連合次期会長に初の女性、事務局長は官公労出身者の就任内定

異例の38回にわたる役薦委、難航の背景と課題

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最後の定例記者会見に臨む神津里季生会長(左)と
相原康伸事務局長(2021年9月28日・連合会館2階)

 労働組合を束ねる日本最大の中央組織・連合の次期会長に、芳野友子副会長(55)の昇格が内定した。6日の定期大会で正式に選出され、8代目として初の女性会長が誕生する。ナンバー2にあたる事務局長には、日本教職員組合(日教組)の清水秀行委員長(62)が就く運びで、官公労出身者が事務局長となるのも初めて。衆院選を目前に、内部で旧同盟系の民間労組と旧総評系の官公労組による路線対立が浮き彫りとなって人選が難航。役員推薦委員会が異例の38回にわたる会合を重ね、定期大会8日前にようやく決着に漕ぎつけた。難航の背景と今後の課題を探る。(報道局)

 2年に1度の会長と事務局長の改選期には、連合内に役員推薦委員会を立ち上げて選考を進める。今回は、役薦委員長に運輸労連の難波淳介委員長、副委員長にものづくり産業労働組合(JAM)の安河内賢弘会長が座って関係者への打診と調整、説得を続けてきた。

 労働組合の役員選出までの過程は、その規模や産業の違いにかかわらず容易でないが、今回は「難航を極めた」と言い切れる。役薦委員が集まる会合は通常の倍近い38回を数えたほか、立候補の締め切り期日を延長するなど、10月の定期大会をタイムリミットとしてギリギリまで悪戦苦闘した様子がみてとれる。報告にたどり着いた9月28日の役薦委の会見で、難波委員長は「来期は幅広い人材から求めていこうと決まり、前例や慣例にとらわれて性急な結論を導くのではなく、徹底的に議論しようと確認し合って進めてきた」と総括。そのうえで、最も大変だった場面を記者にたずねられると、数秒斜め上を見て「どこが...、どこ、どこ。すべてが大変だった」と苦笑いで振り返った。

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次期会長と事務局長の選考経緯と結果を
記者会見で報告する難波淳介委員長(左)と
安河内賢弘副委員長
(2021年9月28日・連合会館3階)

 本来であれば、8月下旬の中央執行委員会に報告する流れの推薦候補だが、9月に入り、難航する過程で難波委員長自身が会長就任の候補として報道各紙に登場することもあった。それだけに、さまざまなプレッシャーがのしかかった"長期の役薦期間"だったに違いない。役薦委は第17期体制の選考にあたって、(1)運動の継続(2)新たなチャレンジに向けた推進力(3)新しい運動スタイルの創造に向けた体制構築(4)これまで以上に組織が一丸となって、コロナ禍で浮き彫りとなった課題の解決に向き合っていくことができる体制の構築――の4本柱を決めて臨んできた。

 新会長に内定した芳野氏はミシンメーカー「JUKI」(東京)の労組委員長を務め、2015年からJAMと連合の副会長に就いている。役薦委の安河内副委員長は会見で「女性比率が低い産業の中で芳野さんが引っ張ってきた。力量は確かで、私がJAМの会長で芳野さんが副会長なのは内部にガラスの天井があったのかも知れない」と持ち上げた。また、現会長の神津里季生氏(65)と現事務局長の相原康伸氏(61)はともに退任となるが、3期6年にわたって会長として率いてきた神津氏は9月28日の定例会見で「女性登用を進めたいという議論が今回の推薦につながった。発信力も問われる職責だが、その点でも芳野氏には大いに期待できる」と述べた。

 さて、連合の活動の中心は何といっても「春闘と選挙」。この2大命題を...


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