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2021年11月15日

多様化する雇用の“仲介的サービス”、実態把握とその手法は?

紹介と求人の境界線、職安法17年改正で残した"宿題"も

 ITやAIの進展で多様化する雇用の"仲介的サービス"。需給調整機能の一翼を担いながら急拡大しているが、従来の人材サービス企業とは異なる分野から新規参入してくるケースも目立つ。玉石混交のプレーヤーが存在する中、現在の法律やルールで対処できているのか。サービスを競う事業者、そして求人・求職者目線からもこの界隈(かいわい)の「労働市場整備」は急務だ。来年の職業安定法の改正を視野に進めている労働政策審議会の議論が佳境に入った。これまでの経過を整理し、今後の展開と着眼点を探る。(報道局)

sc211115.jpg 雇用の"仲介的サービス"には現在、職安法に位置づけられた職業紹介や求人メディア以外にも、求人情報を集約化するアグリゲーターや人材データベース、SNS、スポットマッチング、クラウドソーシングなど、伝統的なイメージを超える多様なサービスが存在する。それぞれのサービス内容や運営者などの正確な実態はつかめていないが、入職経路として若者を中心に活用が広がり、こうした「新形態サービス」の把握は的確な雇用政策を打ち出すうえで欠かせない状況になっている。

 こうした新たな動きに対応した整備に加え、2017年の職業安定法改正で踏み込み切れなかった「職業紹介事業と募集情報提供事業(求人メディア)との境界線」も、労政審の焦点のひとつとなっている。5年前も厚生労働省は「完全な線引き」に挑んだが、最終的に「紹介事業の機能強化」と「求人・募集情報の適正化」の2軸を整えるに留まった。今回の議論では、求人メディアのリコメンド(求職者の要望、特性に応じた情報提示が行われる機能)がさらに充実する中で、「その区分について現状に照らし明確化してはどうか」との課題が浮上。リコメンドは紹介の領域か否か。残した"宿題"に何らかの「定義」を示す可能性もある。この部分は法改正ではなく、指針改正で対応する。

 有識者研究会の報告書(全17回開催)をたたき台に、8月30日から「雇用仲介のあり方」を審議している労政審の職業安定局労働力需給制度部会は、関連する事業者団体からのヒアリングも織り交ぜて、丁寧に議論を展開している。これまでに「基本的な考え方」で労使が概ね合意。各論では(1)新しいサービスを含めた把握として「多種多様な雇用仲介事業の法的位置づけ」「事業情報の公開」「募集情報等提供事業者の把握」。(2)官民の連携について「職業安定機関との連携」「業界団体の役割」「優良な雇用仲介事業の認定と既存の紹介事業の認定のあり方」。(3)募集情報の的確性や個人情報の取り扱い、苦情への対応として「募集情報の的確性」「個人情報の保護」「苦情処理」「適切な履行の確保」――を主なテーマに掘り下げている。

 焦点となるのは...


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