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2021年12月20日

「届け出制」導入で多様な雇用仲介の実態把握、労政審報告書の留意点

「新形態」との情報共有、事業者側の主体的活動も課題

sc211220.jpg 職業安定法上の募集情報等提供事業者(求人メディア)の対象範囲拡大や「届け出制」の導入などを盛り込んだ、労働政策審議会の報告書が厚労相に建議された。これを踏まえ、厚生労働省は年明け早々に示す職安法の改正案要綱の策定を進めている。労政審労働力需給制度部会が報告書を取りまとめた12月8日の最終会合。公労使の発言や厚労省の答弁を精査し、報告書の要所と留意点を探る。(報道局)

 報告書は、「基本的考え方」と「具体的措置」で構成される。「基本的考え方」は4本柱で、それぞれ要約すると

(1)IT技術の進展に伴い、多種多様なサービスを提供している雇用仲介事業者が労働市場において果たす役割を積極的に評価。労働市場において需給調整機能の一翼を担う者として位置づける
(2)職業安定機関は、労働市場全体の需給調整機能を高め、実効的な雇用対策を講じることが重要。多様な雇用仲介事業者とも情報の共有や連携を進めるべき
(3)利用者が安心してサービスを利用することができるよう、雇用仲介事業者が依拠すべきルールをより明確にすべき。労働者になろうとする者にとっても有益なイノベーションを阻害することのないように留意すべき
(4)雇用仲介事業の機能強化と募集情報等提供事業(求人メディア)の適正な運営を確保し、労働市場が的確かつ効率的に機能するための基盤を整備するため、雇用仲介事業に関する制度の改正が必要
(※)なお、AIやマッチングアルゴリズムの使用の留意点、労働条件の明示、その他の論点についても、今回講じる具体的措置の状況を踏まえ、必要に応じて検討を進めていくことが適当

――とまとめた。

 (2)については、行政が多様な事業者を「届け出制」で把握していく動きとは別に、官民の情報の共有と連携を推し進めるために、とりわけ「新形態サービス」と呼ばれる事業者サイドの主体的な取り組みや活動も課題となりそうだ。

 「具体的措置」は3方向から整理。(1)「雇用仲介事業者が依拠すべきルール」として、「募集情報の的確性」「個人情報の保護」。(2)「労働力需給調整の円滑化」として「官民の連携」「国による労働市場に関する情報の収集、提供」「事業者団体との協力」。(3)「募集情報等提供」として、「定義」「募集情報等提供事業者の把握」「苦情処理」「求職者等からの報酬受領の禁止」「事業情報の公開」「違反への対応」――を項目立てて、それぞれに方向性や対応策を示した。

 厚労省が提示した報告書案を受けて、公労使が改正法案と成立後の政省令改正を見据えた見解や意見を述べた。示唆に富む発言と厚労省の答弁が展開され...


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