2026年度の最低賃金(最賃)について、厚生労働省の中央最低賃金審議会(藤村博之会長)の議論は、目安額を全国平均で4.9%、55円の引き上げで決着した。現在の1121円から1176円になる。これを受けて各都道府県の地方審議会は議論に入っているが、昨年は目安を大きく上回る自治体が続出する「地方の乱」が起きただけに、今年は各地方がどう対応するか、動向が注目される。(報道局)
目安額は、賃金水準の高い東京都など6都府県のAランクが54円、中程度の北海道など28道府県のBランクが56円、低い青森など13県のCランクが56円=表。地域間格差を縮小させるため、B、Cランクの引き上げ額をAランクより上回るようにした。
全体の引き上げは昨年度の6.0%、63円を金額、率ともに下回り、20年度を底に5年連続で続いた大幅な伸びは6年ぶりに鈍化したが、金額は昨年度に次ぐ2番目の高さであり、決して低いわけではない。
しかし、労働側は今春闘で5.01%の高い賃上げ率を勝ち取り、それを中小企業レベルまで浸透させたいとの思いから、最賃も「5%」にこだわったが、わずかに及ばなかった。連合は今回の着地について、「労組のない職場で働く労働者へと波及させ、最賃近傍で働く労働者の暮らしを底上げするには十分とは言えないものの、公労使がデータ等に基づき真摯な議論を尽くした結果」と総括。それでも"勝利感"はない。
今年度は、25年度まで3年連続で最賃の大幅引き上げが続き、経営余力の乏しい中小・零細企業から"最賃疲れ"の声が強まった。これを受ける形で政府も7月の「骨太の方針」の中で「最賃1500円」目標を「20年代」から「30年代前半」に後ろ倒しした。また、消費者物価の伸びが鈍化し、労働者の実質賃金が今年1月からプラスに転じたことも材料となり、大幅引き上げの流れは一服した。
今回の「目安」議論開始の直前、中央審は昨年の「地方の乱」に対して意見を表明。最賃は最賃法で規定する3要素(生計費、賃金、支払い能力)に基づいて決めるべきであり、地方審が目安から大きく離れる金額にした場合は、その根拠を説明するよう求めた。同時に、大幅引き上げと事実上の取引条件となった「発効日の後ろ倒し」についても、明確な説明を求めた。
こうした流れがあったため、今年は地方審議会がどう対応するか、大きな焦点になる。昨年の「地方の乱」では「最賃最低県」という"汚名"を避けようと、他県の引き上げ額をにらみながら決めた自治体があったことは確かだ。
最賃周辺の賃金水準で働く人々は地方のパート・アルバイトが多く、人材紹介システムや交通手段の発達などにより、賃金の低い県からより高い県へ容易に移動できるようになっている。また、人手不足に悩む企業にとって、人材を集めるには多少の無理をしても高い賃金を提示しないと集まらないという現実もあり、最賃法では想定していなかった要素が深刻な経営課題となっている側面も見逃せない。
大幅賃上げに追い付けない中小・零細企業の苦境
一方、大幅賃上げが続いた結果、「富裕層」と「貧困層」の二極化が確実に進んでいる現実もある。連合の春闘結果でも、...
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