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2015年6月 6日

派遣法改正案、近く衆院通過  参院審議を経て成立へ

 規制のかけ方を抜本的に見直す労働者派遣法改正案が、近く衆院を通過し、参院での審議を経て成立することが確実な情勢となった。派遣法案そのものには反対する見通しだが、維新が採決に応じる(出席する)方針を6日までに固めたためで、来週以降に開催する衆院厚生労働委員会で政府・与党は、採決に向けた本格的な段取りと日程調整に乗り出す。参院は6月下旬から7月冒頭に審議入りし、議論を経て可決・成立する公算だ。

 5月12日の審議入りから、政府・与党は一貫して丁寧な審議の進め方の姿勢を崩していない。6月2日には2回目となる「参考人招致」(参考人の意見陳述)を実施し、公平な人選でそれぞれの参考人の経験、知見などを聴いた。同法案については、昨年の通常国会の予算委員会などでも取り上げられているが、今国会の衆院本会議と同委員会での審議時間だけに限定しても計33時間を超えている。

 衆院厚労委での採決の道筋がついたのは野党・維新の対応が決め手だが、当然ながら条件付き。維新が中心となって民主と生活の3党で共闘提出(5月26日)していた「同一労働・同一賃金法案」とは別に、8日以降、与党の自民と公明が新たに議員立法として共同提出し、可決させる方針。この新たに提出される「同一労働・同一賃金法案」は、維新・民主・生活の3党が提出した内容そのままではなく、柔軟な労働力移動に必要な環境整備のひとつである理念の方向性は残したまま、法律の施行後3年以内に法制上必要な措置を講ずることなどの文言をいくつか盛り込む見通し。
 維新は「半歩でも前進がある」と肯定する模様だ。

 この考え方については、政府・与党もこれまで方向性を否定しておらず、「共鳴するも時期尚早」としていた。具体的な答弁では、衆院本会議や同厚労委で安倍晋三首相や塩崎恭久厚労相が「職務に対する賃金体系が普及しておらず、能力や責任、配置転換の範囲などの要素によって賃金が決定される職能給が一般的である日本の労働市場において、すぐさま同一労働・同一賃金や均等待遇の仕組みを導入するには乗り越えるべき課題がある」との認識を示し、「まずは個々の事情に応じた均衡待遇を推進していくことが適切」と答弁している。

 派遣法だけでなく、「同一労働・同一賃金」や「同一価値労働・同一賃金」といった視点は、今後の日本の雇用・労働のあり方に重要であることは間違いない。

 一方、今国会の全体の情勢を見た場合、すべての野党が欠席を展開する中での派遣法改正案の採決は、安全保障関連法案の審議にも影響を与えるのが必至。維新が採決で派遣法案に反対しても、一部野党の出席する中で「賛成多数で決まった」とする意義は小さくない、と政府筋は読んだ。

 採決の見通しが見えてきたため、衆参厚労委員会の政党・会派別議席数を整理しておくと、衆院厚労委は委員長を含め全45委員のうち自民28、公明4の与党32。野党は民主7、維新4、共産2の計13。また、参院厚労委は、委員長を含め全25委員のうち自民12、公明2の与党14。法案ごとに対応が異なる少数政党無所属議員もいるが、与党以外とした場合、民主6、維新1、共産1、元気1、無所属1、社民1の計11人となっている。

 

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