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2019年6月 5日

「変化対応行動が求められる時代」佐藤博樹教授   アデコの「リカレント教育」セミナー

n190605_1.jpg アデコは5日、都内でプレスセミナー「令和時代の『リカレント教育』のあり方」を開いた=写真・上。生涯にわたって教育と就労を交互に、または働きながら学び直しを続けるリカレント教育について、日本は他国に比べて意識が低いことがアデコグループの国際調査で明らかになった。また、ゲストスピーカーに招かれた中央大学ビジネススクールの佐藤博樹教授は「企業環境がどう変化するか正確に予測することが困難な時代に入り、ビジネスパーソンには知的好奇心と学習習慣、チャレンジ力の3つを備えた『変化対応行動』が求められている。それを高める方法としてリカレント教育は有効」と強調した。

 セミナーでは、アデコの土屋恵子取締役(ピープルバリュー本部長)が、日本やフランス、イギリス、アメリカ、中国など世界9カ国・約5000人を対象に実施したリカレント教育に関する独自調査を踏まえて、日本のリカレント教育に対する意識の特徴などを報告。「過去10年間に新たなスキル獲得を検討したことがあるか」を聞いたところ、日本は最低の63%で9カ国平均の87%を24ポイントも下回ったほか、デジタル革新への不安も他国より鈍いことなどがわかった。

 土屋氏は「政府の人生100年時代構想会議でもリカレント教育が注目されているが、まだ広がりに欠ける。他国では働く人が会社を選ぶ際、新たなスキル習得に対する支援の度合いも重要なポイントとなっているが、日本ではその認識も低い」と解説した。

n190605_2.jpg ゲストスピーカーの佐藤教授=写真・下=は「ビジネスパーソンに求められる『変化対応行動』」と題して講演。社会経済環境やビジネスの変化に関心を持つ「知的好奇心」、新しいことを学び続ける「学習習慣」、予測できない変化にも取り組む「チャレンジ力」――の3つの特性を備えた行動を「変化対応行動」と名付け、「働く人が自ら変化対応行動を高めるには社外で多様な人材と交流機会を増やすことが重要で、そのひとつに社会人大学院であるビジネススクールという選択もある」と述べた。

 また、働き方改革の定着には「生活改革」が必要と指摘したうえで、「企業はリカレント教育を望む社員を後押しする環境をつくるべき」と強調した。講演後には、両氏がそろって参加した記者たちと質疑応答を交わし、理解を深めた。

 

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